少し前、…途方に暮れてて、どうしようもなくて、 またあの人に電話をかけてしまった。
当然出ない。あのコール音が悲しい。 どうしても声を聞きたくて、メールを打った。
いつだったか、彼に「出ないと思ってかけてるの?」と言われて 辛く思ったのを思い出した。…いつも出ないと思ってる訳じゃなく。 「出てくれたら嬉しい」と思ってかけていたけど。無性に悲しかった。
だから、返事がくるとも期待せずに横になって、 どこにも焦点を合わせずに途方にくれていたら、電話が震えた。 まさか、かけてくれるなんて思わなくて、でも嬉しくて、 「はい」と言う声も、電話を持つ手も震えてしまった。
もう電話もメールもしないから、なんて言って、私はとても嘘つきだ。 まだ、声を聞くだけでこんなになるのに、私は逃げた。 いい子で居たかったから。嫌われたくなかったから。単純な理由と自己防衛。
好きになってから大分経って、会えなくなって、ようやく話が出来るなんて。 …嬉しくて。「どした?」って、最初の一言だけで、私は泣きそうだ。
私は、誰かを不幸にするのが怖いと言った。 誰の事が一番好きなのか分からなくて怖いと言ったら、 「君は誰の事より、自分の事が一番好きで大事なんだよ」と彼は言った。
見透かされて言葉で切られる感覚が嬉しくて、胸が痛い。
誰かを愛して壊れて行く覚悟も無く、誰かが壊れるのを横で支える 覚悟もないから、迷っているんだと。…彼の言葉が好き。
50分間、私の相手をしてくれた。初めて、ちゃんと抱いてくれた一時間と 同じ位嬉しくて悲しかった。彼に冷たくされるのが好き。 振り向いてもらえないのが好き。
でもやっぱり、きっと、自分の事が一番好きなんだろうと気付いた。 そんな自分が「大嫌い」だと思った。
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