胸に沈めたとけないものあの人に会わなければ、静かに消えていくはずの哀しみやら、記憶やら、感触やら、匂いやら、…なんだろうか、記憶が薄れれば薄れるほど、本当に恋しい記憶だけが濃度を増して、ただそれだけの記憶に、身体じゅうが埋もれてしまいそうになる。ああ、…加速していく。淡く沈むこの波の中で、支配される哀しみ。胸に沈めたとけないものが、私を支配していく。とけない、貴方の、魔法と呪い。