ちょっと絵が描けるからって、ちょっとお洒落だからって、ちょっと運転上手いからって、だから何だと言うのだろう。別に凄い事じゃない、誰にだって出来る。なら、“あたしがあたしである証”それは何処にあるのだろう。こうして疑問に思う事すら、『人生』という螺旋に組み込まれた一部に過ぎないのに。
毎週混み合う 週末の電車酒臭い人間に囲まれ服には煙草と油の匂いがこびりつき心は汚染されて汚い街は浄化する事が出来ても汚い人間を根こそぎ洗う事など到底出来やしないそう この僕のようにね
天気予報は傘マーク 降水確率70%駅のホームに 人陰はなく若干吹きつける風と 雨の音だけが響くこんな時は否が応でもあの日を思い出させる悲しみではなく醜さを悟った日傘もささずに歩いた帰り道雨に濡れてしまっては本当に可哀相なのは自分なのだ と罪悪感の裏で独り善がり溢れ出たものは涙ではなく愚かさそのものだったのに
純粋なんて とても言えないだけど汚れることも出来ない白か 黒かいっそ一色に染まってしまったなら心が揺れることはないのかもしれないねそれでも僕は 僕でいたいからこそきっと どちらに染まることもないのだろう白でも 黒でもない中途半端に 濁った そう泥水のような色それが 僕の色 なんだろう
まぶしすぎる太陽が 顔を覗かせた目が痛いから 手を振ってそれはあたりを赤く染め 西に沈んだ風が強まり 星が輝きはじめるマフラーにあごまで埋めて 目に入りゃしないのに何がしたくてそんなに光っているんだい本当に抱きあいたい月は はるか遠い空の向こう温かいものといえば人肌だとか ハートだとか たまに思いこんでしまうが確かな温もりといえばいま目の前にあるコーヒーくらいなのだろうそれでも それすら 時間が経てば冷めてゆく人の心に 永遠がないように冬には毎年 雪が降るように冷えてゆくものなのだろう何もかも