自分が女であることを忘れそうになる。 恋人がいないことが当たり前の毎日。 もうすぐクリスマス。
いつもの場所に迎えにきてくれている見なれた車。 ドアを開けると流れてくる甘い匂い。 乗りなれた車のいつもの席。 ・・・わたしの指定席ではないけれど。
食事を終えて、いつもの場所へ。 いつものように車のなかでくつろぐ時間。
本当は強引にでもキスしてほしいと思ってた。
知り合って3年半、はじめてのキス。 なんだか不思議。
ひさびさに感じる男の人の体温は わたしをとても癒してくれた。
今日という日を憶えているのは わたしだけかと思ってた。
だんだんと冬の色に染まる空気。 帰り道にふと見上げた空にはカシオペア。
「ちょっと遅れたけど、何年目だっけ?」
まさかちゃんと憶えてるなんて。 まさかメールまでくれるなんて。
もう5年も経つんだね。
恋人ではない。 友達と呼ぶにはいとおしすぎる。
わたしは知ってる。 あなただって わたしのいない人生なんてもう考えられないでしょ?
4年半という長い年月。 1度も会うことなく過ぎた日々。 1年に1度、あるかないかのメールのために ずっと消せずにいた携帯のメモリー。
会ってもすぐにはわからないかと思っていたけど 遠くから坂を降りてくるあなたを見てすぐにわかった。 そしてあなたもすぐにわたしに気づいてくれた。
ずっと変わらない笑顔。
おたがい夢に向かってまっすぐだったあのころ。 サーフィンで真っ黒に日焼けしたあなたを こっそり目で追っていたあのころ。 こみ上げてくる過去の想い。
もっと一緒にいたかった。 ずっと声を聞いていたかった。 また、会える?
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