本を読んで、泣いた。 ビデオを見て、泣いた。
恋がしたいと、思った。
誰かを好きになって あふれるほどのいとおしさで その人を包みたいと思った。
わたしはいつになったら この手で大好きなひとを抱きしめられるのだろう。
「お前に愛される男は幸せだ」
そう言ったあの人の声が今も耳に残る。
誰かを想いたい。 その想いを伝えたい。 そしてその人を抱きしめたい。
はじめて会ったあの日。 雑踏の中のキミはまだ学生の空気をまとっていた。
やわらかい関西の言葉が心地よくて タイミングをはかってキミの隣に場所を移した。 いつのまにか、キミのことだけを見てた。
わざと同じ電車で帰ったのに キミは立ったまま気持ちよさそうに眠ってしまって わたしはそっとキミのことを抱き寄せた。
あれから1ヶ月。 残っているのは左腕の感覚と何通かのメール。
ねえ。 キミに会いたいよ。
ねえ。 キミのこと、もっともっと知りたいよ。
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