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神楽坂という街が好きだ。それも、秋雨の降る神楽坂がいい。
神楽坂の近くに越してきて早くも3ヶ月が経過しようとしている。この街は、旧い欧羅巴の町並みのように、細い路地が入り組んでいる。昔訪れたブルージュの街並みを思わせる。
この路地を、ただ通り過ぎてはならない。坂の途中の数々の石畳の道が、僕の足早の歩みを禁じる。路地の奥にこそ、味わいぶかい店がある。 長居したくなるような喫茶店、しっとりと落ち着いた漆器店や、ブルターニュのクレープを食べさせるブラッスリ-、足袋・下駄の老舗、モロッコ料理店、一人で入りたくなるバーの数々。
未だに芸者置屋があるこの街には、一方で、古くからの住人の生活感が充溢している。
神楽坂が好きだ。坂の街には、石畳がよく似合う。実際には石畳はごく限られた路地にしかないが、それでも僕には十分である。
今まで通り過ぎてきたいくつかの街のように、この街を離れることがあれば、私は夢の中で何度となく思い出すだろう。
2000年10月15日(日) |
弁護士らしからぬ日記 |
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弁護士らしからぬ日記ばかり書いている。これは、仕事の話をオフの日にまでするのが苦痛であることにも起因しているが、弁護士日誌とタイトルを掲げている以上、羊頭狗肉とならないためにも、いったいどんな仕事を最近しているのか、少しまとめてみようと思う。
私が現在携わっている主な仕事は、銀行・証券会社関係のコンプライアンス関係のリサーチや、ジョイントベンチャーの設立などが中心である。合併や株式の取得(いわゆるM&A)も多い。
IP(知的財産権)関係の訴訟もある。クライアントに外資が多く、また日本のクライアントでも外国との取引について依頼を受けることがほとんどである。英語を使う仕事はほぼ6割くらいだ。
例えばジョイントベンチャーを例にとってみると、契約書の作成及びそのコメント、交渉、関係官庁との接触、各種認可・届出、裁判所への事後設立、現物出資等の申し立て、会社の設立、取締役会・株主総会の開催、議事録の作成などの作業があり、これらに伴ってさまざまな調査(リサーチ)が必要となる。解釈上も難しい問題をはらんだ法的な問題点を調査し、実務上で問題点がないように工夫をするという作業であるが、これがもっとも難しい。
次回の更新の際には、さらに詳しく解説するつもりである。
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最近、国選事件を取った。
事案は実刑になる可能性がある窃盗事件で、4件の被害者との示談のために文字どおり走り回った。結局は執行猶予付き判決が下された。本人の反省と更正の可能性を考えれば、これは喜ばしいことで、今後罪を償ってまともな社会生活を営んでくれればと願わずにいられない。
国選事件をいわゆる渉外事務所の弁護士が受任することはこれまで極めて少なかった。 私の所属する事務所のように国選事件に理解のある事務所でも、多忙を極めているため、コンスタントに国選事件の受任をする弁護士は例外的だった。
私も、事務所の仕事で忙しいには忙しいのだが、受任した。 というのも、私の所属する第一東京弁護士会は今年から公益活動を義務化したため、一年に一回は国選事件を受任しなければならないのである。
他にはクレジット・サラ金法律相談などの選択肢もあるが、私の所属している一弁の人権擁護委員会の国際人権部会の仕事は公益活動にカウントされない。
Q&A外国人法律相談の原稿の執筆や、外国人法律相談を受任などを行っているにもかかわらず、全く考慮されないというのはどうにも解せない。
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「シックス・ストリングス・サムライ」を観る。
第二次世界大戦後、ソ連に占領されたという設定のアメリカで、エレキギター片手に、 抜き身の日本刀を担ぎ、よれよれのスーツ、破れた蝙蝠傘で、荒野と砂漠を行く男の話。 意味のある単語を話せない男の子が、男を慕ってついていくさまは、子連れ狼的としかいいようがない。
まさに様式美の世界である。
なんともチープなB級映画ではあるが、この映像の美しさは一見に値する。 実のところ、私はこの類の映画を偏愛しているのだ。
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