2001年04月17日(火) |
書評:サマー・アポカリプス |
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笠井潔第二弾。
結局読んでしまいました。 内容としては非常に充実しており、ちょっとフーコーの振り子を想起させる展開。 ラングドックといえば、ワインで有名な土地柄。 確かにフランス語表記をすれば、Langue d'Oc でオク語という意味だとは知っていたのだけれど、史実をここまで詳しく追っていくと、それなりに違う意味が付与されて面白い。
話の筋は相変わらず、ナディア・モガール嬢が素人探偵を演じつつ、結局全て物知り顔でつんと済ましたカケル・ヤブキといった組み合わせ。抑え目の描写をすれば、それなりに話に奥行きと重厚さがだせるはずのシノプシスであるにもかかわらず(そして恐らくそれを作者は意図しているにもかかわらず)軽さを感じるのはなぜだろう。一読者にとってみれば、決して嫌な軽さではないが、ただ、これが意図された軽さではないと思う分だけ、惜しいと感じてしまうのです。
ヒマラヤ山中での修行?のシーンはちょっと笑えた。「導師(メントール)」はいくらなんでも狙い過ぎでしょう笠井先生。(とはいえ同時にそのあたりの描写の美しさに笑えない自分が居たのだけれど。)
この本もお勧めです。
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大学生のころ、仕事のために費やす時間がもったいないからいわゆるサラリーマンになるのはやめようと決心した。 どうせ食べるために仕事をしなければならない身分ならば、時間を管理できる職業に就こうと考え、資格試験の道を選択した。
その目論見は幸運にも成功したものの、皮肉なことに、現在、僕は、生きている時間の大半を仕事に奪われている。
こんな言葉がある。 「自分の運命は自分で管理すべきだ。 さもなくば他人が管理する。」
状況は、やがて習慣化する。習慣化した状況に対応するため、これをルール化すると、制度となる。制度は、一人の人間を管理するに十分な力を持っている。 本当にやりたいことをやろう。
ここにこんな独り言を記すのは、自身への戒めのためだ。 生き急がねばならない。特に時間が無限ではないと悟るときには。
2001年04月01日(日) |
独白:渉外弁護士の仕事とは? |
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この日記サイトを使うにあたって、「弁護士日誌」がどのような日記なのか、簡単にご紹介したいと思います。 まずは、ご理解頂くため、簡単に渉外弁護士の仕事についてふれてみます。
英語を使う仕事を「渉外の仕事」と称してよいのかについては議論があるところですが、現在の私の仕事の約6割くらいは多かれ少なかれ英語を使用しています。
最近多い仕事は証券業界、銀行界の再編の波を受けて、新たな業務に進出するジョイントベンチャー(合弁)企業の設立に関する作業や、新たなストラクチャー(仕組み)を用いた債権の流動化などです。これらは、契約書の作成・検討に始まり、会社設立作業、登記、証券業登録、外為法・独禁法及び証券取引法上の届出、報告等一通りの作業が必要になりますのでこれらの書類の作成、提出等の仕事をおこないます。
一方で、新しい金融商品や仕組みの特殊なファイナンス(金融)について、その適法性について調査してメモランダムを作成する作業もございます。ここでいう「メモランダム」は、単なる「手控え」ではなく、法律上の議論を整理し、考え得る法的問題点を検討して議論したものをまとめたものを指しています。勿論、英語のものを要求されることもあります。法律事務所全体として出す意見書よりは公式ではないが、ほとんどが前人未到の法分野を検討するものばかりなので、議論は難解です。私も日夜頭を悩ませては、事務所の他の弁護士と侃侃諤諤の議論をする毎日を送っています。
このように抽象的な説明では、正直言って外部の人にはわかりにくいのではないかと思うのですが、如何でしょうか。そこで、これから少しずつこの場を借りて、どんな仕事をしているのか、どんなことを考えているのか、独り言を語っていきたいと思います。
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