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ZS日記 「 海 」-13・・・・・tako - 2004年09月01日(水)

「たっだいまぁ」
誰も居ない部屋に元気よく飛び込み、
そのまま廊下を突っ切って、家中の窓を開け放つ海。
カーテン、ベッドカバー、1週間分の食料品のストック…
両手いっぱいの荷物をどさっとテーブルに広げたゾロ。
何故か模様替えまで手伝う羽目になった俺。

あれ以来、もう2度と訪れることもないと思っていたゾロの家に
再び足を踏み入れる。
何の屈託も無く笑う海は、
「ジュース飲みたい。とうさんは麦茶?」
と言いながら、手にはもうカップを持っている。

ああ、あのペールブルーのマグカップ… あれは海のだったのか。
で、グリーンのはゾロの。

なんだか気の抜けたような思考でぼーっとしていると、
無言で手の上に乗せられた真四角の箱。
「なに…」
訊ねる間もなく、海が飛んできた。
「わぁ、サンジのだねっ」
「え?」
「ね、早く開けて?」 箱と俺とを交互に見つめる瞳は
よく見知っている女性のそれと同じ色で…

「サンジ? …サンジ?」
さっきまでの輝きが影を顰め、窺うような声色。
「ああ、待て、今開ける。」




*    *    *    *    *


「なあ、海。どうだ?曲がってねぇ?」

海には内緒で買った絵は、新しいカーテンと同じ色の海に、
寄り添って泳ぐイルカの親子。海、気に入るかな?
すすけた木のフレームが窓になり、その風景をまるで本物のように見せている。
ちょっと右下がりか? 傾いた線を水平に…
「海…?」
お茶の後大きなベッドカバーと格闘していたはずの少年を振り返ろうとした時、

ぐらり…

視界が斜めにスライドし、
不安定だった子ども用の椅子は、
重心のずれた俺の身体をいとも簡単に放り出した。


「ぁ…っ」



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