詩のような 世界
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都会から離れると
そこには大きな大きな空があった
空とはこういうものだったんだ
つまり僕が今まで「空だと思っていたもの」は
空全体のほんのひとかけら(つまり空とは言い難い)
天使の羽が描かれている
僕もあそこへいきたいな
両手を伸ばすのが少し恥ずかしくて
目を閉じて想像したんだ
ねぇ 世界はもう1つあるのかな
気がついたら何年か経っていた
としてもね
あの空の下にいる僕は変わらないまま
残像のように立っているだろう
今度は、きっと誰かと一緒に
巨大な穴を開ける 午後
滴るマニキュアは 磯の香り
暗くなる前に出かけましょう
始まりは すぐ終わりになるのです
灼熱地獄を懐かしむ11月は
何を迎えるために過ぎるのでしょうか
新しい靴は 小さな家を買えるくらい高価
一心同体のわたしは 影
あの飛行機雲は太すぎて奇妙だと
誰かに教えたくて右と左を探しました
影も形もないとは このこと
前と後ろには興味がわかず
わたしも線を描きたくなり
待ち人のことは頭から吹っ飛び
あの雲よりも白いチョークを求めることだけ
だけです
恐れる必要はありません
命を失ったように冷たくなったアスファルトに
叩きつけてゆく 白い生命線
つながってゆく 影と影が
疲れきり 倒れこんだところはベッドの上でした
ぷかぷかと気持ちよく浮いている夢を見ながら
最後の人は 最初の線と結んでくれたか
ふと心配になりましたが そのまま夢に沈みました
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