映画『苺の破片(イチゴノカケラ)』,『MILLIBAR』,ダニ!

 夕張がロケ地で、映画祭に吉永小百合も来ていた『北の零年』。
あまり魅力的ではないが、歴史の勉強代わりに見ようと思った。
ぴあのHPには18:30とあったと思うが18:00からだった。もう!

 渋谷の『アミューズCQN』という新しい映画館で『苺の破片(イチゴノカケラ)』を見る。
ビル内にはオシャレなインテリアショップなどもあったが覗いている時間はない。

中原俊作品は『桜の園』『12人の優しい日本人』が好きだったので期待していたが、全然駄目だった。

ああいう女性もいるかもしれないが、12年も、片思いだった先輩の死を受け入れられないのは長すぎてリアリティがない。12年駄作しか発表してない漫画家が生活成り立つものなのかな。競争激しそうだが。

なんとなく、『桜の園』の二人が「脚本書きました。やらせて下さい!」「そうか、君たち頑張ったねえ」って作りました、という感じがしてしまうのだが。

カルーセル麻紀は良かった。

 『ミリバール』で飲む。「マグロ アボカド キムチ丼」。

 元檸檬屋従業員のAちゃんから電話。
「桜井さーん、ダニに刺されてないですか?」
「あー!刺されてるよ!あれ、もしかして!」
「あの店ですかねー」
「そうか!私は夕張に行ってる間に家の布団に発生したのかと思ったんだけど」

かつて檸檬屋でも私たち二人だけ酷くダニの被害に遭っていた(今は平気)。
うーむ、困った。また行こうと思ってたのだが。こういうのは言ってあげた方がいいのかなあ。
2005年03月02日(水)

『伊勢丹』,『泡盛』

 日記のアクセスは間もなく9万。最近は更新が遅くても1週間に1000近くのアクセスがある。皆様ありがとうございます。面白いですか?
3月中に更新追いつく予定。見込み。強い希望です。これからもご贔屓に。

 『MARIBAR BBS』に2月8日に行った店『泡盛』を巡る、2月13日の日記について反論の書き込みがあった。

ならば、確認に行こうじゃないの。元檸檬屋従業員のAちゃんを誘う。2月は1日たりとも空いてる日がないと言ってたゴーヤ君にも声をかける。

 その前に、気温-15度の地でファスナーが壊れたガボールのブーツを修理に『伊勢丹』。
「通常ですと修理代が5,000円ほどかかるのですが」と担当者。
「なにー?!」
「いえ、それはこちらで負担いたします」
「北海道旅行中に壊れたんですよ!」
「はあ、遠いところで」
あのねー、極寒なの!死ぬっちゅーの。頼むよ。

 『泡盛』に入った瞬間、力王さんは「あっ」という顔をした。嫌そうでも特に嬉しそうでもない表情。
今日は女性の従業員がいて、カウンターには女性客が一人。力王さんはずっと厨房内にいた。

今回はメニューをしっかり見て、値段を覚えた。8日の力王さんの勘定はいたって適正なものだった。料理は今日も美味しい。

 後からゴーヤ君が来て、3人でいろいろな話。
いつも言われていることだが「日記はやめた方がいいんじゃないですか」とゴーヤ君。
「そんなの桜井さんの自由でしょ」とAちゃん。
「桜井さんがジャーナリストになりたいんだったら、あれは時間の無駄でしょう」
「書きたいの。読んでもらいたいの」と私。
「日記を書きたいなら好きなこと書いて、でもそれをネットに載せなくていいじゃないですか」
「いやなら読まなきゃいいじゃないですか」とAちゃん。
「いや、読みたいのよ。多分ね、ゴーヤ君は自分だけが読みたいんじゃない?他の人に読まれたくないんだぁ」と私。
「そうじゃないです」と笑うゴーヤ君。

「ジャーナリストになりたいんですよね?」とゴーヤ君に突っ込まれる。
「うーん」よくわからん。多分どうしてもなりたいわけじゃない。
私は楽しく遊びたいのであって、遊ぶ金欲しさに働くのに、ジャーナリストはないんじゃないかと思う。そんなことやってる暇はない、ような気がする。

「日記は歯磨きよ。磨かないと気持ち悪いし、きれいに磨いたら見て欲しいのよ」
「あ、それはいいですね。歯磨きするように書くっていうのは」とゴーヤ君。
「なんだ、急に変わった」とAちゃんと笑う。

 3人で2万円弱。海ぶどうは1人前分の量がないからとサービスしてくれ、お土産にタンカンを1人1個ずつもらった。
「先日はご迷惑かけました」と力王さんにご挨拶。「いや、全然」と笑顔。
やっぱりいいね、ウチナーンチュ。宮古の男さー。
2005年03月01日(火)

『人魚姫』,さよならビュッフェ,Mt.レースイ スキーリゾート,『レースイの湯』,『Airport Garden』

 温泉に入って、朝食バイキングの会場へ。「真理さん」と声をかけられ驚く。やば、スッピンだよ。ギョエ、舩木壱輝さんではないの!
「え?なんで?」かなり動揺している私。
「朝食券もらったんで」
「一人?」
「はい」
で二人で朝食。戸惑いながらも楽しい。

「昨日はあの後カラオケ行って、2時間前まで『GRACE』にいましたよ」。
すごい。舩木さんは間もなくチェックアウトですぐに帰らなくちゃ、とのことで多分10分もいなかったような気がするが、幸せな一時だった。

 チェックアウトして市民会館。映画祭グランプリの『人魚姫』を見る。
これまた「ファンタジック・ラブストーリー」でタイムスリップものだが、大変良かった。

お母さんが強烈。人を激しく責め立てるところなど私の母みたい。
自分でも不思議なくらい泣いた。目が腫れた。やっぱりグランプリだわ。
それはいいけど私の顔は今朝のスッピンより酷くグジョグジョになってしまった。

 張魔夫さんご夫妻にご挨拶。何度もご馳走になってしまったので、せめてお昼を御馳走させて下さいと思ったが「いいから、何食べる?」
私は一人でビール。

 高橋玄さんと『ポチの告白』プロデューサーも食堂に来て、別のテーブルで話していたら玄さんに電話が入り「知らない、何それ?」などと言っている。
「『CHARON』がゆうばりファンタランド大賞をとったらしい。授賞式に出ろって」。

おお、やったあ!昨日『俺家』でも熱く語っていた映画祭プロデューサーの小松沢さんが選んでくれたのかしら?と思ったら(失礼!)、そんなお手盛りの賞ではなかった。

観客のアンケートで、ハリウッドや日本映画の大作から自主映画まで、全ての参加映画の平均得点で『CHARON』が1位になった。玄さんはアンケートのことを知らなかったし、私も他のところでは書いていたが、『CHARON』では書かなかった。だから内輪の組織票などでもなく、見たお客さんの評価なのだろう。これは本当にすごい。

私「表彰式はどこなんですか?」
玄さん「レースイだって。もう行かなきゃ」
私「あ、違う!レースイじゃなくて、ここです。市民会館の上の階ですよ」
ふぅ。

 上の階が「さよならビュッフェ」の会場で、次々いろんな人がスピーチをしていた。
ワインを飲む。

「毎年、映画祭のムードメーカーとなる人がいます。今年は、何と言っても奥田瑛二さん!」と紹介されて奥田さん登場。ホントに精力的に映画を見て交流して若手と話して、って感じで素敵だった。

夕張では『CHARON』と上映時間が重なって見られなかったのだが、奥田さんの監督作品『るにん』は東京では12月に公開らしい。是非見なくちゃ。

ゆうばり市民賞の発表があって高校生とは思えない貫禄の男子が壇上へ。

最後に発表されたのがゆうばりファンタランド大賞で、玄さんが壇上から川本淳市さんを呼ぶ。
二人並んで賞品を受け取って、玄さんが受賞スピーチ。
「10年前に2億円かけて作った映画をゆうばりに招待してもらいまして、それがこけて、この『CHARON』が駄目なら映画を…」でこみ上げるものがあったらしく、言葉に詰まっているのを見て、私の『人魚姫』で緩んでいた涙腺は再び壊れる。

玄さんが川本さんにマイクを渡して、川本さんが「午前6時から午前6時まで、翌日のフィルム代を工面しながら撮った本当に手作りの映画なんです」と続けて、拍手ー。

ああ、夕張に来て良かった!なんて素敵なこと。
ステージから降りた玄さんがカメラ攻め、サイン攻めにあっている。
私も腫れ上がった目だけど、玄さんと張魔夫さんとの記念写真を奥様が撮って下さる。

 皆さんは空港への専用列車の出る夕張駅へ。私は荷物をとりにシューパロへ。川本さんとAさんらがいて、Mt.レースイへの車に同乗させてもらう。
ホテルマウントレースイの目の前がJR夕張駅。

ホテルロビーは専用列車を待つ人たちでいっぱい。更衣室で着替えて出るともう誰もいない。

スキーウエアはスキーショップJIROで15年ぐらい前に買ったものだが、あんまり古い感じはしない。と思う。

レンタルスキーは随分短いのを出してくれた。私がスキーを頻繁にやっていた頃は身長+10cmなんて言われていたが、今のスキーは短くてかなり軽いのね。

一人は寂しいが、これが北海道のパウダースノーか、と楽しく滑る。
スキーは数年ぶりなのに、上手く滑れる。新潟の雪とは違う。
晴れているけれど、寒い。でも気持ちいい。誰もいないコースを独り占め、というのもあまりない経験だ。

 センターハウスで中華丼。夕方になって一段と寒く、動いているリフトも少なくなる。

 17時に上がって、温泉大浴場『レースイの湯』へ。
ホテルシューパロの大浴場より広くて、ミストサウナ、マッサージバス、露天風呂もあって最高。

札幌で旧交を温める、映画三昧、初の北海道スキー、温泉とやりたかったこと全部出来たなあと満足満足。いろんな出会いもあったし、ああ面白かった!

 18:40マウントレースイ発のバスで新千歳空港。
レストランフロアに行くとどんどん店がクローズしていく。
『Airport Garden』でビールと豆サラダ。メール。

空いた時間に読もうと持ってきた本は一回も開かず。結局メールしてると時間はあっという間に過ぎてしまう。これはどうなのかなあ。

 21:45発ANA970便で羽田。帰りの飛行機も遅れたらしく、モノレールもバスも終わってしまい、京急で品川。25:30ぐらいに帰宅。やれやれ。

 札幌で、夕張で、お世話になった皆様、本当にありがとうございました!!
2005年02月28日(月)

『エターナル・サンシャイン』,『阿修羅城の瞳』,ストーブパーティー,『旅愁』,『俺家』,『ホテルシューパロ』

 予定では10:30から『コーラス』を見ようと思っていたのだが、目が覚めたら12時を過ぎていた。
顔も洗わず歯も磨かず寝不足で、ヘロヘロだが3回券のチケットが1枚残っているので、何か見なければならない。

「ビデオクリップなどで活躍する鬼才ミシェル・ゴンドリー」の「ファンタジック・ラブストーリー」ってどうかなあ、と思ったが『エターナル・サンシャイン』を見る。

見て良かった。感じるところいろいろ。私は失恋しても恋愛の記憶を消したいなんて思ったことないなあ。もったいない。全部記録しておきたいくらいだ。

主人公の女性が髪の毛をいろんな色にして、それが激しく入れ替わる現在と過去をわかりやすくしているのだが、寝不足の脳みそはついていけない。もう一回見直したい気もする。
見終わって隣の席の女性たちは「なんだかよくわからない話だったわねえ」と言っていた。

髪色には名前がついていて、「青い廃墟」「アカの脅威」「緑の革命」など。
私の「夕張メロン」とか「カーネーション」とは違うが、かなり親近感を持ってしまう。

 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2005では、有料映画の会場の座席にNTT東日本がタイアップで作ったマフラーが置いてある。空いている席のももらってしまえるが、私は見た有料映画の数6個を持ち帰り、お土産とする。

> お土産は、かにで良いです。

などと言ってる『ご近所さん』Gにも、やるか。基本的に私は旅の土産は買わない主義なのだが、おねだりされちゃったからな。

 市民会館の食堂で、一人でビールとカルビ丼定食。雪が酷く降り始める。吹雪。

 『ホテルシューパロ』にチェックインして温泉に入ってちょっと寝て閉会式に行こうと思ったら、そんな時間はなく部屋のシャワー。

閉会式会場に向かうバスは行ってしまい、タクシーも30分待ちなどと言われ困っていたら、川本淳市さんがいたので車に乗せてもらう。
 
 ゆうばり文化スポーツセンターは「大きい会場だからチケットは当日で大丈夫ですよ」と言われていた。しかし、満席。奥田瑛二さんさえ席がなくて困っていた。遥か遠い舞台では市川染五郎と宮沢りえがフラッシュを浴びて話していた。

通路に座ってクロージング作品『阿修羅城の瞳』を見る。「最新SFX」ってどうなの?と思ったら想像を遥かに超える陳腐さ。今時炎がボッとか、鬼の瞳が緑に光るとか、そんな映像作るなよ。

歌舞伎のシーンはいいし、二人はきれいで4分間ぐらいは面白いところもあったが残りは「けっ」。宮沢りえは鬼って感じはしない。
締めくくりがこれではなあ。

 授賞式のヤング・ファンタスティック・コンペティション部門グランプリの発表では『トレモリノス73』に期待していたが、パク・フンシク監督 「人魚姫」に決まる。残念だが、受賞作品は明日無料で見られるので未見のもので良かったか。

 バスで市民会館。前はホテルでパーティーをやっていたらしいが、経費削減のためか、ストーブパーティーとなって、昨日と同じ屋外で炊き出し状態。寒いし餌にはありつけないし。

 夕張『ご近所』の白くまさんは「ストーブパーティーは、皆ボランティアしてるのに遊んでると思われるから行きたくない」とのこと。
「じゃあお店に行きますか」と言ったら
「皆で盛り上がっているなら悪いから」
「いや、私は全然盛り上がってないです」
「でも皆といるんでしょ」
「皆とはこの後ずーっと飲むから」
「俺は人見知りするし」
「いや、皆と会うんじゃなくて、小1時間くらいご飯食べて、それから私は合流するから」
「でも悪いんじゃない?」
ってもう!寒いんだから早くしてよ!と叫びたくなる。

「飲みに行かないから店は知らない」
「……じゃあシューパロの店にします?」ってことで『旅愁』。居酒屋メニューいろいろ、美味しい。

夕張の話、映画の話、映画祭の話。
昔は夕張に何十軒もあった映画館は今、一つも営業していないらしい。皆映画は札幌に見に行くのだとか。
白くまさんのように映画好きな人もあまりいなくて、映画の話をする人もいないとか。
「キム・ギドクなんて皆知らないですよ」
まあそうかもね。
「賞を取っても日本で公開されない作品もあるし」
そうなんだ。

白くまさんが多めに払ってくれて、車まで送って、私は『俺家』へ。

 高橋玄さんチームと我孫子・柏のフィルムコミッションの人たちで20人を超えるグループが盛り上がっていた。

昨日は二日酔いで大変だったらしい舩木壱輝さんも復活。
舩木さんは夕張から帰ったらすぐ単身でフランスに『CHARO』のフィルムを持って行くので、夕張にも『旅の指さし会話帳』持参で予習をしている。

張魔夫さんに「フランスでは『シルブプレ』って言ってりゃ大丈夫だ」と言われてずーっと「シルブプレ、シルブプレ、シルブプレ」とつぶやく舩木さん。

「今もやってるかわからないけどポンピドゥーセンターっていう建物の前でいろんな大道芸やっている人たちがいるから、そこへ行って、アクロバットやったり、『寿』とか『侍』とか筆で書いたりすれば売れると思う」と言ったら
「それやる!」と舩木さん。頑張れー。

張魔夫さんの奥様とお話。私と似ている、と誰かに言われる。
常に気を使って、甲斐甲斐しく動いている様子を見て、こうでなきゃ駄目なんだな、と思う。

3時を過ぎた頃か、鞄からトランプを取り出す玄さん。手品を見せてくれる。「まだあんまり上手くないんだ」と言うけど、いつ練習してるんだ?
「目の錯覚を利用するところは映画と同じ」と玄さん。ナルホド。

中田圭さんの『剣』で主演の加藤靖久さんは、かなり慣れてる感じでマジックを披露。おしゃべりも上手い。皆さん多才だなあ。

 まだまだ盛り上がっているが、寝不足で辛くなってきたのでシューパロに帰る。
本日はシングルルーム。フロントではツインのシングルユースと言われたが。
2005年02月27日(日)

『公共の敵』,『サマリア』,『DMZ非武装地帯』,『CHARON』,『居酒屋熊五郎』,『俺家』,『喧嘩の極意』,ディープコアナイト

 『ホテルシューパロ』一泊目はツインのシングルユース、昨夜は隣の部屋に移動して、ダブルのシングルユースだった。今日の部屋は空いていない。「深夜にならないとわからないです」とフロントマン。

 困ったことは続く。防寒で厚い靴下を履いていたせいか、ブーツのファスナーが壊れてしまった。
この極寒の地で、なんてこと!ドイツの靴メーカー、ガボール!頼むよー。
パンツなので気づく人はいないが、かなり心地悪く、寒い。

 本日は朝から夜までずっと市民会館。『日韓友情年 コリアン シネマ スペシャル』の1本目『公共の敵』。
カン・ウソクは『シルミド』がすごく良かったが、『公共の敵』も面白い。爆笑。
ハチャメチャ問題刑事の話で、「俺たちは犬だろ?」なんてセリフもあり、『ポチの告白』を撮った高橋玄さんと対談などしたら面白いのでは、と思う。

玄さんは『ポチの告白』を「全国27万人の警察官全員に見て欲しい」と言っていたが、『公共の敵』は現役刑事とその家族を招待して試写会を開いたとか。
まあ、映画『公共の敵』では「公共の敵」はあくまでも連続殺人犯であって、『ポチの告白』では日本の警察こそ「公共の敵」だから、『ポチの告白』の方がラジカルな作品である。

 13時から市民会館前広場にある雪像の前で、映画祭のゲストが一斉に集まるフォトセッション。私のケータイカメラはきれいに撮れないので、人垣の後ろから見るだけ。

 張魔夫さんご夫妻、玄さんにご挨拶。「『公共の敵』面白かったですよ」と言ったら「ウー気持ち悪」と玄さん。昨日も朝までだったらしい。

 おにぎりを客席で食べ、14時から『サマリア』。キム・ギドク監督は夕張に来るとか来ないとか、最後までわからなかったのが、急遽来日。
私が夕張行きを決めた理由の一つは「キム・ギドクに会えるかも」。一番話を聞いてみたい人だったので感激。

そう思ったのは私だけではないようで、何故か女性に大人気。客席がキャーキャー言っててファンの私も不思議なほど。私にとっては面白い人なのだが、かっこいいのかな?

『サマリア』も良かった。援助交際でこんな事件になって、なんで親も学校も知らないんだよ?とか、そういう疑問はキム・ギドクの場合、なし。彼だから問わない。

 3本目『DMZ/非武装地帯 追憶の三十八度線』。
イ・ギュヒョン監督自身の軍隊体験を描いているらしいが、あまり好きではなかった。
軍隊を美化している、というわけではないのだが、楽しそうだから嫌なのかな。よくわからない。単に面白くないのかもしれない。いや、3本目で疲れたのかな。

 日も暮れて市民会館前では『居酒屋 熊五郎』が開店。居酒屋といっても、夕張市民による振舞酒と、郷土料理の炊き出し。オープンエアーでめちゃくちゃ寒い。

大きなストーブとあちこち火をたいて、いろんな鍋やら、肉や魚・貝を焼いたり、熱燗をつけたりしているのだが、あまりの寒さに、火を囲む輪に入るのも大変。
「ホッケ焼けましたー!」などと夕張市民が声を上げるのだが「くださーい」という私の声は届かないらしい。頑張ってホタテ1つとトドの肉一切れ。
フジテレビのアナウンサーら取材チームが私の横に割り込んで、私はまた火を囲む輪から外れる。

 市民会館の食堂に行ってみたら、我孫子や拍の『カロン』サポーターの人たちが来ていて、ビール。

 20時から市民会館シネサロンにて『CHARON』。満員。立ち見もギュウギュウ。
1995年、玄さんが初めてゆうばり映画祭に参加した『嵐の季節』を知る映画祭プロデューサーが「あれからいろいろあってね、本当に…お帰りなさい!玄ちゃん!」と泣きのスピーチをするので、私も涙ポロポロ。
『CHARON』はいろんな意味でゆうばり映画祭的映画と言えるのではないだろうか。

『CHARON』7回目の鑑賞で初めて立ち見。90分だから耐えられる。

 居酒屋『俺家』を覗いたら、玄さんと『ポチの告白』プロデューサーと張さんご夫妻がいて、私も混ぜてもらう。
暫くすると、隣のテーブル(お誕生日席に座っていた私の斜め後ろ)に奥田瑛二とキム・ギドク監督のグループが座った。

私は玄さんたちの、髪の毛の話を聞きながら笑いつつも、後ろの二人が気になって仕方がない。
後ろのテーブルは映画の話題でも盛り上がっているが、「ここのラーメンがうまいんだ」などと話している。

私もラーメンを頼んでみる。
「うまいですよ、ここのラーメン」と話しかけてくれる奥田さん。ラーメンが来たら「どう?美味しいでしょ」って、なんか全然気取ったところのない人なのね。印象が随分変わった。

キム・ギドク氏も、私が左側に振り返ればすぐそこ、ほんの数十cmのところにいるのだが、日本語わからないだろうなあ、と思うと話しかけられず。

店を出るときに通訳らしき人に「あちらの方キム・ギドク監督ですよね」と言ってみるが、他の話をしていたらしく「そうです」、以上。
私の荷物を持っていてくれたプロデューサーに呼ばれて、慌てて外に出る。

ああ失敗。でも多分またどこかで会える。そう信じて生きていこう。彼の作品は全て見よう。そしてまた会えたら「サランヘヨ!ユア・フィルムス」で、どうだ。

 オールナイトイベント『ディープコアナイト』で、深夜2時だか3時から玄さんのVシネマ『喧嘩の極意 突破者番外地』を上映するとのことで、『郷愁の丘ミュージアム・シネマのバラード』へ。
何か別の映画を上映している会場は満席で、熱気ムンムン。会場付近の建物内でだらだら過ごして待つ。

 『喧嘩の極意』は2001年のVシネマだが、池袋の『TSUTAYA』では常に貸し出し中。私は未見だった。スピード感があって、非常に面白かった。
出演者みんなが「『喧嘩の極意2』を作りましょう!」と言って奔走したという話はよくわかる。ヒットするだろう。私も見たい。

『カロン』の主演川本淳市さんは『喧嘩の極意』で玄さんと初めて仕事をしたらしい。ショートパンツにツンツンヘアで若い!
宮崎学さんはここでも刑事役。張魔夫さんと共演しているではないか。

 終了後、朝になってもイベントは続く。きつい、横になって眠りたい、と思って玄さんたちが泊まっている宿泊施設『ファミリースクール ふれあい』に電話。一人雪の道を、壊れたブーツで『ふれあい』に向かって歩くも「受付の人がまだ来てないからわからない」と言われる。

 『ペンション 黄色いリボン』に電話。「今から午前中、お金は払いますから寝させて下さい」と泣きを入れるが「今日は忙しいので」と断られる。「チェックアウトまででいいです」「無理です」などとやってるうちに『黄色いリボン』まで歩いて来てしまった。
ひどいね!この寒さの中、死ねってことか。『黄色いリボン』の前で行き倒れてやろうかと思う。

 仕方なく、また『郷愁の丘ミュージアム・シネマのバラード』に戻る。
中田圭さんが、松田優作CM集など、マニアックな映像コレクションを披露していた。
8時半「えー、今からもう1本上映しようと思っていたんですが、ここの館長が大激怒しているとのことで、急遽上映を中止します」。残念なことなのだが、助かったような気もする。

 最後まで会場にいた女優さんは『黄色いリボン』に泊まっていた。3人部屋を、女性2人で使っていて、布団が一組余っているとか。
お部屋を訪問させてもらうことになった。

9時半ぐらいか、部屋に着く。荷物を『シューパロ』のフロントに預けていて何の道具も着替えもないので、顔も洗わず服のまま、ちょっと横にならせてもらった。

私は宿泊している女優さんの部屋に寄っただけ。
『黄色いリボン』は多忙を理由に私を泊まらせなかったのだから!
2005年02月26日(土)

隣人13号,郷愁の丘ミュージアム・シネマのバラード,剣,トレモリノス73,和,清寿司,ふるさと亭,GRACE,シューパロ

 朝風呂に入って、朝食を食べて、部屋に戻ってフロントに電話。今日の部屋は空いていない。
荷造りの途中で電話がかかってきて「お部屋がご用意できました」。おお、助かった。
しかし明日は満室だと言う。今日も部屋は移動するので、荷造りはしなければならない。

 私が泊まっている『ホテルシューパロ』には『夕張国際ファンタスティック映画祭2005』のプレスルームがあり、映画の上映会場もある。

 昨夜、みんなが「明日は『隣人13号』を見よう」と言ってたので、私はあまり興味がないけど、シューパロが会場だし、見ることにする。
しかし、上映時間が迫り人がいっぱいになっても、知っている人は一人も現れず。

『隣人13号』は私の嫌いなタイプの映画だろうと思っていた。意外にそれほど嫌ではなかった。
「危険にさらされている子供を捜す親がこんなかよ?」と思う場面はあったが。

イジメっ子の記憶を持つ私にはなかなか怖い物語。久し振りに思い出して嫌な気分になったが、そういう風に人を揺さぶる映画として評価できる。

 高橋玄作品の常連出演者で自身も監督の中田圭さんがイベントをやる『郷愁の丘ミュージアム・シネマのバラード』にバスで行く。

あまりお腹はすいていないが時間が余ったので、喫茶コーナーでビールとミートソース・スパゲティ。

ガラス張りの店内から外を眺めていたら玄さんたちがやってきて、スノーモービルを試乗して楽しんでいた。
元気そうだが皆さん昼まで寝ていたとか。

 中田圭監督作品『剣』は「驚異のハイパー・ソード・アクション」とのことで、私の苦手なSFもの。途中寝てしまう。(スミマセン)

 終了後、玄さんたちと一緒にいらした『CHARON』でギャングの親分役張魔夫さんにご挨拶。お茶をご馳走になる。

 次の中田圭さんの映画上映前に、玄さんの『ポチの告白』の出来たての特報と予告編上映があった。
敬礼をしている警官(菅田俊)の顔のアップ、BGMは「犬のおまわりさん」。笑い声が起こる。
カメラが引くと警官の首にはぶっとい鎖が繋がれている…。予告編もかっこいい!

 映画祭循環バスでシューパロに戻る。一人で『トレモリノス73』を見る。
スペイン人パブロ・ベルへールの初監督作品。出版社営業マンが会社の都合で自分たち夫婦の性生活の映画製作をするはめになり、のドタバタコメディ。エッチで可笑しい話かと思ったら、男の哀愁を感じる、切ない物語ですごくいい。
『トーク・トゥー・ハー』のハビエル・カマラと、妻役のカンデラ・ベーニャの感情表現も大変うまい。
スペイン人監督ではアルモドバルが大好きだが、この監督の色使いも素敵。フィルムを加工して、本当に73年当時の映像を見ているように感じさせる。

 ホテルのレストランは終わっていて、近くの喫茶店『和』で抹茶モンブランと紅茶。美味しい。
店内では、夕張市民ボランティアだろうか、2人の男性が映画祭の問題について議論していた。

 玄さんたちは他の映画を観ているとの事で、一人で『清寿司』。
昨日のウエルカムパーティーでお話をした人たちがいて「あ、メロンちゃんだ!」と言われる。気恥ずかしい、でも嬉しい。

ビール大瓶1本、お刺身、鰊漬で2,000円。玄さんから電話が入ったので朝までやってるテント居酒屋『ふるさと亭』に移動。若者いっぱい。

300円の焼酎お湯割り。ぬるい。ストーブはあるがほとんど学園祭の模擬店みたいなもので、足がつめたーくなる。
「寿司屋に行くか」と玄さん。ネタ切れで、再びカラオケパブ『グレース』。

 昨日も『ラ・バンバ』を歌っていた、『トレモリノス73』の監督パブロ・ベルへール氏がいて、グループの人と話し込んでいた。
「映画見ました。素晴らしかった。大好きです。泣きました」と言ったら喜んでくれた。
玄さんと監督同士のお話は英語で。意気投合していたようだった。

天王洲アイルの会社のFさんが送ってくれた「ほうじ茶チョコレート」を皆に配る。好評。

 眠くなったのでシューパロに戻って寝る。しかし、映画祭来場者数に対する宿泊施設の不足はかなりの問題だ。
なんで私がホテルで、プログラムにもクレジットされている作品の監督・関係者の皆さんが元学校を改築した施設の大部屋なんだ?申し訳なくなる。
2005年02月25日(金)

『ラ・メゾン・ド・カリー・クゥー』,『シューパロ』,『マウントレースイ』,『ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!』,『GRACE』

 10時チェックアウト。快晴。雪が眩しい眩しい。日記読者Mさんと約束したお昼まで時間があるので、荷物を預けて夕張行きのバス停をチェックしてから、サングラスを探す。デパートの1階とかにありそうなものだが、どこの店も上層階にあるメガネサロンを案内される。なんか違う感じ。

札幌パルコの入り口では、かわいい男の子がランチのチラシを配っていた。

 待ち合わせ場所に現れたMさんはシックで落ち着いた感じの女性だった。
「何食べます?」と聞かれたのでパルコでもらったチラシの店を提案。
「スープカレーですね。札幌の名物なんです」とMさん。
「そうなんですか?全然知らなかった。そう言えば最近東京のコンビニでスープカレー買いました。すっごい不味くてビックリしたけど。あれは札幌から来たのかな?」
などと話しながら『ラ・メゾン・ド・カリー・クゥー』へ。

かわいい男の子は…いた!「チラシもらったので来ました」と言うと、にっこり笑って「ありがとうございます」。いいねいいね。
「桜井さん、メンクイなんですよね」
「はい、大変。彼、かわいいですよね」
「うんうん」
「Mさんの好みは?」
「私は趣味が悪い、って言われるんですよ」
「外見はこだわらないってことですか?それともそういう人が好きなんですか?」
「そういう人が好きなのかも」
「じゃあ、Mさんもある意味メンクイですよ」
などと他愛もない話や仕事の話、どこから私の日記に?など。

『クゥー』のスープカレーの味は、普通。昨日O君も言ってたが、札幌の料理は量が多い。
スープカレーの器もラーメン丼より二周りぐらいでかい。

会計時、かわいい男の子は「どちらから?東京!わざわざありがとうございます」とまた笑顔。
「あの子、素晴らしい!むちゃくちゃいい子だ!」とMさんに言ったら
「北海道の男の子は素朴なんですよ」。

 再会を約束してMさんと別れ、バスで夕張へ。途中、一段と寒くなる。
スキー場の山が迫った雪景色とはまた違う、ひろーい大地がずーと真っ白なのを見るのも多分初めて。

 15時半過ぎぐらいだったか、映画祭関係者がいっぱいの『ホテルシューパロ』着。ロビーで高橋玄さんチームに遭遇。

 チェックイン後、ホテルの近辺を散歩。スキー場でメルヘンチックだったり、ヨーロッパ風に洒落たところは見たことがあるが、夕張は軒先の氷のキャンドルスタンドとか、いろんな大きさのたくさんの雪だるまとか、いちいちかわいい。センスも悪くない。そして、名作映画の大きな看板があちこちに。一人で歩いていても楽しくなる。

また玄さんチームに出くわす。商店街に映画『CHARON』のポスターを貼って、宣伝に歩いてるみたいだ。お手伝いするべきだったか?と後になって思う。

ホテルに戻ってレストラン『REBECCA』で一人晩御飯。皆さん映画祭の開会式に行ったようで、静かな店内、ロビー。

映画祭のオープニングは『シャーク・テイル』の上映。全く興味ないので、私は参加せず、誰もいないホテルの大浴場へ。さら湯に浸かって、体操しちゃったり。ああ極楽。

 ゆっくり準備をして、夕張『ご近所さん』の白くまさんからの連絡を待つ。
パーティー会場へはタクシー?相乗り?とやってたら白くまさんが迎えに来てくれ、『ホテルマウントレースイ』まで送ってもらう。
「本当に一人出来たんだ」と言われる。

 ウエルカムパーティーは21:30からと聞いていたが、時間前に既に始まっていた。私はお腹いっぱいだったので料理にはほとんど手をつけず、飲む。

本日の衣装、ひびのこづえの蛍光黄色のチューブリボン・スーツは夕張メロンなヘアスタイルととてもよく合っていて、知らない人にも褒められる。

ステージで餅つきをする奥田瑛二、松方弘樹を見たり、『愛を乞う人』『OUT』『レディージョーカー』監督の平山秀幸さんとお話したり、寺島しのぶ出品の着物のオークションに参加してみたり、地元の人ともお話。楽しかった。

 玄さんたちと一緒に映画祭専用バスで『ホテルシューパロ』に戻る。ホテルの入り口に奥田瑛二さんがいたので「餅つきうまいんですね」と話しかけると「そうだろ?こういう感じで…」とやり始めてちょっとビックリ。気さくな方なのね。

パーティー衣装で外を歩いたら死ぬので、着替えてカラオケパブ『GRACE』へ。映画祭関係者大集合という感じ。

 中座して、23:30から市民会館シネサロンにて『ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!』という1971年に公開1週間で打ち切りになったカルト映画。私は座れたが立ち見状態。

谷岡ヤスジの漫画が原作なのかと思ったら、アニメだった。くだらないセクハラネタ満載で「やっちまえやっちまえやっちまえやっちまえ」…鼻血ドバー!あらーん!の繰り返しにうんざりしながら、だんだん脱力して、最後は笑ってしまう100分。

 『GRACE』に戻って飲む。玄さんの『地上の星』熱唱はすごかった。皆かわるがわる歌ったりヴィデオ撮影で店内を走り回ったり。

 3時半、ホテルに戻って寝る。
2005年02月24日(木)

抱茎亭日乗 / エムサク

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