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お帰り、デュトワ - 2004年01月17日(土) 昨日、N響定期に行った。 指揮はシャルル・デュトワ。 そう、あのデュトワです。 去年6月に音楽監督を退任して、 まだ半年だけど、彼がN響の指揮台に帰ってきた。 私もその時のことを「ありがとう、デュトワ」と書いた。 半年なのに随分なつかしい感じがして 感慨深かった。 やっぱデュトワが振るとどうしてまあ、 ああ音が鮮やかになるんだろうかね? やわらかくちょっとパステル調の透明な音から ダイナミックで激烈な音まで 音の色という色が、 めくらめく色の洪水の如く移り変わっていく。 どんなに激烈な音響でも決して濁らない。 この人にオーケストラがどれだけ鍛えられたか。 音を緻密に創る、という作業を徹底することを覚えたか。 この演奏を聴いていると否がおうにもそう思わずにはいられない。 やった曲が、また近代オーケストレーションの極をいく R。シュトラウスの「英雄の生涯」だから その印象はことさらだった。 次はいつ来てくれるかな?デュトワ。 ... 職人カタギ - 2004年01月16日(金) 先日、ある歌手のリサイタルがあって 久々に裏方仕事をやった。 日本、ドイツ、イタリア、ロシアの歌曲が中心のリサイタルだったのだが 最後にあるオペラの一場面を演ずるところがあり、 そこだけ舞台装置(簡単なものだが)と照明の工夫が必要だった。 少々面倒くさい演出ではあったが 歌手、ホールの照明さんと当日までに大体の打ち合わせはできていたので まあ、大丈夫だろうとあまり不安はなかった。 ところがどっこい、 相手は歌手だった。(え?) それも「オッホッホッホ〜」とプリマ気取りのソプラノ。 ホール入りの時間には来ない。 照明さんの都合もあるのに練習順番はメチャクチャ。 「この会場のカベの色なんとかなんないの〜?」とか(なるワケないだろ!) 素晴らしいお振る舞い。 (注:歌手だからってみんながみんなそうじゃありませんよ!) で、懸念していた最後の曲の舞台演出。 …今までの打ち合わせはなんだったんだろう (?_?) 歌ってみると、 「やっぱりここはこうじゃなくてこうね。」 「こんなのやだわ。こうしましょう。」 「ここ、こういう色ライトないの?」 「ここ、私がひきたつようにスポットにしてよ。」 …ほとんどぜーんぶ変わってしまった。(>y<) もちろん私はボーゼンとするのだが しかし、彼女のやりたいことを見て聞いていると なるほどその方が確かにいいな、と。 理にかなってる。ずっとリアリティがでる。 言ってることはムチャクチャだけど。 そういう時、振り回されるのは私以上に もちろんホールの裏方さんなワケだが、 彼らはアーティストとマネージャーがどう接するかで とても変わる。 高飛車に「ああしろ」「こうしろ」といえば憮然として動きはにぶくなる。 (普通の人もそうだと思うけど) でもたとえムチャクチャでも、丁寧に熱心に説明して 「こうしたらこうなるんです。」 「アーティストはこういう世界をだしたいんです。」 ということを納得してくれた時は、俄然やる気をだして積極的に動いてくれる。 私も今まで日本中の現場でそういう場面に遭遇している。 で、今回も果たしてそうだった。 「よーし、じゃあ、こうやってみましょうか!」 「どうです?ちょっと工夫してみたんですけどチェックしてもらえませんか!」 どんどん活気が出てくる。 それに歌手が休憩している間にも 「ここの部分にこういう色をいれて、ここで少しずつ光量を落としていったらいい感じになるんじゃないですかね?」 なんて自らアイディアまでだしてくる。 すると歌手も「まあ、いいじゃな〜〜〜い。」と。 (本番はホントにすごくうまくいって、みんなを抱きしめてチューしてくれた。) だから私は裏方さんが好きなんだ。 こういうのが職人気質、っていうんだな、といつも感心させられる。 ほんとソンケーである。 ...
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