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真の天才 - 2004年03月09日(火) グレン・グールドのCDを聴くといつも ここでピアノを弾いている人はこの星の人間ではなく 何か別の生き物のような気になってくる。 私は「天才」「天才」とよく自分の聴いた音楽家のことを 軽々しく書いてしまうが グールドのような破格の「天才」にはそうそうお目にかかれない。 ましてや実演でそんな人に何人めぐりあったか? アルゲリッチ?ポリーニ? 現代それ以上を望めないくらいの、最高級のピアニストには違いない。 でも彼らは「人間」の範疇にいる気がする。 リヒテル? …彼は確かに凄い「天才」だったかもしれない。 ではグールドのような真の「天才」というのは 現代に存在するのか? 答えはYes。 指揮者のカルロス・クライバーだ。 クライバーこそは他の演奏家とは次元の違う 超天才指揮者だ。 私は幸運にもクライバーの指揮するコンサートを2度も聴けたが いすれもなんだか現実のものとは思えず ある「奇跡」の場だった。 最初に聞いたのは1986年、 バイエルン国立管弦楽団との来日公演で 会場は昭和女子大学人見記念講堂。 曲はベートーヴェンの交響曲第4、第7交響曲。 クライバーがいかに凄い指揮者かは それまでCDで聴いてかなりのものを感じていたので 会場に行くのもすごく緊張したのを覚えている。 会場も異様な緊張感の中、 彼は唐突に袖から走るように出てきたかと思うと サッサカサッサカ指揮台に上がり お辞儀もそこそこに指揮棒を振り下ろした。 (なんだか人前でどんな顔をしていいかわからなくて、一刻も早く音楽の中に入りたくてたまらない、といった風だった。) しかしその瞬間! 会場の世界が一変した。 突然空気が変わった。 空間移動して別の場所に連れてこられたようだった。 あの第4交響曲の闇の中を探り歩くような深い深い音。 そして前方に光がさしてきたかと思うと、 あっという間にアレグロに突入し、今度はまばゆい光の奔流!! 第7交響曲はもっと凄かった。 とにかく最初から最後まで音が音を超えて、 というかここで聴いているのが「音」とか「音楽作品」だ、 というのを忘れるくらいで ただただ目の前にあるのは生命の輝き、生命の奔流だった!! すべてが躍動して、はじけて満ち満ちていた!!! クライバーをナマで聴いたことある人や 映像で見たことある人ならわかると思うが、 彼の指揮ぶりは、いち、に、さんみたいに拍なんかとらない。 ほとんどバレエ。それも最高に優雅な。 耳をふさいでも彼の体の動きから 雄弁に音楽が伝わってくる。 オーケストラも彼から発する強烈なエネルギーに どうしようもなく酔わされて、気分よく しかも自分たちの力を超えた力まで引き出されているのが 見ているとよくわかる。 一体この人はホントに人間なのだろうか? といつも思う。 話がそれたが、この日のアンコール クライバーの十八番中の十八番、J.シュトラウスの「こうもり」序曲。 ここでは文字通り、音楽が 「笑ったり」「泣いたり」していた。 笑ってる「ように」泣いてる「ように」じゃなくって そこに人間の喜怒哀楽全てがあった。 こういう指揮をする男を「天才」と呼ばずして なんと呼ぶか。 そして音楽ってなんたる力をもったものなのか、 ということを思い知った一夜だった。 一緒に行った親友と 渋谷駅まで呆然と、 一言も言葉を交わさず歩いていったのを思い出す。 えらい長々書いてしまいましたが、 明日もまたクライバーの思い出を書かせて下さい。<(_ _)> ... 鉄人のレストランにて - 2004年03月08日(月) 昨日、鉄人坂○のおフレンチを食べに行った。 私の親父が3月で再(?)定年になる、ということと 私の結婚プレ祝い、ということで 母がコツコツ貯めたお金をはたいての粋な企画。 超美味しかった〜 |)゜0゜(| いやーつくづく料理は想像力だと思った。 野菜の旨み、 ソースの複雑な味、 口の中でとろけるお肉なんて初めて食べたよ。 でもちょっと難を言えば 全体にちょっとこってり感がありすぎたかな? スープなんかをもちっとあっさりしてくれると 緩急がついて良かったんだけど。 (←鉄人の料理に物を言うふとどき者。) しかしこういったセレブな場所でもウチの家族は俄然目立っていた。 なんてったって 周りの客よりずっと後から食事をし始めたのに 食べるのが早い早い。 ゆったり食べている周りの方々を次々とゴボウ抜き。 そして一面に広がる夜景を見ようと 席は立ち放題 お店のスタッフと話しこむ。 またウチの家族は弟の一人を別として お酒が飲めない。 従って甘党ばかり。 デザートが運ばれてくるやいなや 全員中腰でスタンバイ ワインを選ぶ時とは比較にならない速さで 「これとあれとそれっ!」 と選ぶ選ぶ。 恥ずかしい〜!! でも楽しいひと時でした。 ...
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