一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年06月06日(金) その12


その12

三人に後で聞いた話しだけど、出前の自転車が事務所の前に止まってるし、その二階で、怒鳴る大きな声がした時、たまたま事務所にいた、オルテガが三人に・・・「見てこい!」 だったそうだ、

剃り込み!四本指!刺青!三人とも、凄い顔して・・・

「偉そうに言うとんのわ!お前か!」・・・・・・・(君達も結構、偉そうなんだけど)

床を吹いてる私を見下ろすように椅子に座って、怒りあらわなマスターを・・・
三人が取り囲むように、見下ろし、三人で、そっと椅子ごと抱えて、らせん階段の上から・・・
下へ向けて!落としたんです!・・・「あああードンガラガッタン!ドンガラガッタン!」
ちょうど、カーブの所で椅子がひっかかって、本人も椅子の下敷きになり、ゥウウゥゥゥ・・・
三人が、見下ろして、マスターに言ったセリフに・・・シビレタネ・・・

   「男はな!弱いものイジメは!せーへんもんや!」・・・・・・・・・・(オルテガや・・・)

マージャン屋のマスターが私に・・・「あの人は、負けが込むと廻りに八つ当たりするからみんなに
    嫌われたしなー心配せんでええで!」・・・・・「ああーはい!」

       こんな事も・・・ありましたよ・・・
                        


2003年05月29日(木) その11


その11

そう言えば、こんな事もありましたよ・・・

オルテガの事務所の前がマージャン屋になってて、入って直ぐに横がラセン階段で上に上がると、
20個ほどの、マージャン卓があって、いつも出前を取ってくれる人は決まってて、近くで何かスナック
をしてるらしく、みんなからは、マスターって呼ばれていて・・・

たまたまその日、負けが混んでて虫の居所が悪かったのか、私が台の上にスパゲティーを出して、御代を頂いて帰ろうっとしたら・・・

「マテぇー!なんやこれ!・・・何や言うとんねん!」

「え?スパゲティーで・す・け・ど・・・」

「アホか!見たら分かるわい!この、かげた皿のことを言うとんのじゃ!」・・・・

「刑務所じゃあるまいし!こんな皿で食えるか!!」と、

皿ごと床にほり投げた!・・・「持って帰れ!」・・・大きな声で怒鳴った!

私は、怒りをおさえて、片付けていると・・・直ぐ横のラセン階段から、ドカドカ!ドカドカ!と何人か
上がって来る音が・・・もしかして・・・事務所の前だし聞こえたかな?・・・やっぱり!あの三人や!・・・
来た!来た!凄い顔や!しらんでー

                   また・・・・次


2003年05月27日(火) その10


その10

オルテガのお誘いも、丁重にお断りして、寮に帰ろうとしたら、オルテガの言いつけで、剃り込みと、
四本指が寮まで送ってくれた・・・当時、東映のヤクザ映画の全盛期、映画の煽りを受けてか・・・
「兄貴!」・・・・・・・(年もそんなに変わらへんやん!)

「人目もあるから、その呼び名はやめてくれる!まだまだ僕も君らといっしょで、修業の身やから・・・」

「すんまへん!じゃー兄さんって事で、」

「ダメ!名前を呼んで!佐藤君って」

「ええ!それは、チョッとヤクザの世界では・・・」

「いや!僕はヤクザじゃないし!」・・・・・「自分らはどうしてこの世界に入ったん?」

剃り込み〜「尼の県立高校出て会社に入ったけど、上司とけんかして・・・家でブラブラしてる時に、
映画で(高倉  健)を観て、これや!って」

四本指〜「三田の大きな農家の長男で、朝、早いのがイヤで家出して、尼で(高倉  健)の映画を観て、
        この人の世界へと思った」と・・・

この二人の話を聞いて、当時十八歳の私は、あまりにも私の貧乏な田舎の話しはしたくないと思った、そして・・・若かったのでしょ!この二人には絶対!負けたくないって、思ったものでした・・・

                       次は・・・また今度・・・    


2003年05月23日(金) その9


その9
 その頃の、ビリヤードは、どこの店も深夜、三時ゴロまでやってて、私たちのように、仕事を終えて、やって来る連中も多く、何故かここは、いつも一杯で不思議な店でした・・・
ある日、いつものように来ると、従業員の人に一時間待ち!と告げられ、座ってると店のマネージャーが来て・・・

「あ!あの、社長に聞いてます!直ぐにはいれます!」・・・  (ここの社長って、だれ?)   

しばらくして、私たちが、ワイワイやってると、マネジャーが側に来て!

「あのー奥の台で社長が呼んでます!」・・・・・・・・     (えええ!・・・誰?・・・)

マネジャーの後を付いて奥の部屋に・・・薄暗い部屋の中にビリヤードの台、その奥に、一人
その人はいた・・・・・・オ・ル・テ・ガ!
オルテガは窮屈そうな三つ揃えのスーツを、アル・カポネのように着こなし、私に・・・

「!教えたろ!最初が肝心や!」・・・・・キューの先にチョークを付けらがら・・・

「あ! は、は、ハイ!」・・・・・・・・    (なんで?僕やの?わからん)

「四つ球!言うてな、これが本当のビリヤードなんやで!」…・(赤が二つ、白が二つのゲームらしい!) 

先輩達が・・・遠巻きに・・・「もうーぼくら先に・・・帰っとくわな!」・・・・・・・   (見殺しかい!)

オルテガが私を・・・じーっと見据えて、キューを立てながら・・・

「わしの・・・・組に・・・入らへんか!・・・」・・・・・・・・・・・    (はあー?)
      
                       


2003年05月19日(月) その 8

その8
当時、阪神尼崎の中央商店街は、飲み屋にパチンコ、マージャン屋、ビリヤード、などがやたら多く、
必然的にその道のプロが生まれてきます・・・配達に行くとその道のプロの方たちが私に・・・

「にいちゃん、かいな?この間、事務所で暴れたらしいな!」・・・・・・(何で!暴れなあかんねん)

「事務所の前で座り込みしたっちゅーやん」  ・・・・・・ (それは、した!)

「事務所の中で若い衆を木刀で叩いたらしな!」・・・・・(もう!とっくに、・・・死んどるは!!)

ある事ない事、いろんな噂が飛び交って、いちいち説明しながら配達をしてましたよ。
月一度の休みに先輩達の何人かとビリヤードに行ったとき・・・いっぱいで一時間ほど待ち時間が・・・
その時、奥の方で常連さんみたいな賑やかなグループがいて、目と目が合った時、正直イヤな予感!

「わしら!もう終わるんで、ここでどうぞ!」  ・・・・   (剃り込みや!刺青や!)

「仕事やすみですか?」  ・・・・   (声かけんといて、ほしい)

一番びっくりしたのは、先輩達!「あの人達は友達なんかい?」   ・・・・・  


2003年05月13日(火) その7


その7

その頃、店では、私が出前に行ったっきり、日が暮れても帰って来ないので、何人かの先輩達が心配して事務所まで見に来て、すると・・・私が事務所の前で、ちょこんと、座ってるので・・・

「あ・あ・アイツは、あんなトコで何をしてるんや!」と、びっくり!、そんなこんなで、店の中の
みんなも、そわそわドキドキ・・・警察に言った方がいいんじゃないかと、大変だったそうです

そうこう、みんなで思案してる時に、私が「剃り込み」・「刺青」・「四本指」・、三人といっしょに帰って来たので・・・ウエイトレスのお姉さん達が・・・「あ・あ・帰ってきましたー」  ・・・・(帰らいでか!)

もうー顔なじみになった!三人組がみんなにお詫びをしてる時に・・・みんなは・・・「はい!いえいえ、」
チーフが胸はって・・「は・は・払ってくれたら、ええけどね!」「今度はちゃんと払ってや!」と、得意気に
言ってました、そして、三人が帰ったあと、みんなが・・・「えええーいったい、何があったん?」

「ハイ!ツケの46500円!」と、レジの人に渡すと、不思議な顔して

「へえーあの三人からよく取れたね!」・・・私が・・・

「あの人たちじゃなくて、オルテガ!じゃなくて、くれたのは親分です!」すると、みんなが・・・えええ!・・・えええ!

                   ちかれた・・・・・つづき


2003年05月11日(日) その6

その6

私を見つけて立ち止まり、剃り込みにオルテガが・・・
「この子は何んや!・・・おまえら何してるんや」

四本指の子分が・・・
「すんまへん!メシ代もらうまで帰らん言うて座っとるんですわ!・・・もう、帰しまっさかいに!」

すると、オルテガ、が、詰め寄る子分達を止めながら、私を、じーっとみて・・・
「メシ代は幾らや、まあ!そんな所に座らんと、中に入れ!」・・(えええ!中に入った所を刺される)

オルテガ、が、事務所の中から・・・・
「ぼく?なーにも心配せんでもええ!はよ!ここへ来て座り!」・・・(やさしく言って刺すんやろ)

私は出前箱かかえるように持って、事務所の中へ・・・そして皮の大きなソファーに座り・・・
オルテガが内ポケットから蛇皮の大きな財布を出しながら私に・・・「なんぼや」・・・、

「あのー今までの分のツケが・・・46500円なんですけど」・・・・   (あああ言うてもた)

まわりの、血ノケの多い子分達が、やばい!と、思ったのか、いっ声に私に向かって・・・
「何ぬかしとんねん!・・・お・お・親分!このガキ、嘘ついてまっせ!」・・・(いっしょにすな)

オルテガの目の色が変わった・・・私は正直やばい!と、思った!瞬間!
壁に飾ってあった、五本ほどの木刀を一本!取るやいなや、振り向きざまに、
刺青と・剃り込みと・四本指に、横から肩に向かって木刀を振り下ろした
私の耳には、今でもあの時の「ぶうーん」と、いう音がはっきりと残っている、さらに
・・・オルテガが振り下ろしながら一人一人に・・・

「弱い者をいじめるようなヤクザだけにはなるな!と、言うてるやろ!」  ・・・・(親分はすごい!)

                つづきは・・・・・・また
  


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