一橋的雑記所

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2006年03月12日(日)




どうして素直になれないのかねえ。

「……もしもこの記憶が無かったら。憎んでいたかもしれない」

手と手が届く距離に在って。
何でその先に指を伸ばせないのかねえ。

「……私、もしかして、嫌われた?」

そんな筈は無いなんてでも。

「だから、僕にしておきなさいって」

教えてやらない。



怖かった。

「……泣いてるの?」

自分なんてどうでも良かった。

「どっか、痛い?」

腕の中、失われていく温度が怖かった。

「……綾ちゃん?」

ただ、それだけだったのに。

「本当は、どうしたい?」

分かる訳ない。
この気持ちは、自分のものですらない。
分かっているから。
これ以上は、側には、居られない。



なんでかな。

「あなたを守る、それだけでした」

いつからか真っ直ぐには見てくれなくなった。

「あなたに救われた、だから、でも」

違う。

「これ以上、此処に居る事が、あなたの為になるとは思えない」

そんな事無い。
あの時、泣いてたのは、私も同じ。
悲しい色の目。
この場所に、繋ぎ止めないと。
何処かへ行ってしまいそうで、怖かったのは、私。

「それは……最初から、間違っていたんです」

そうじゃない。
ちゃんと、見て。
私を、見て。
そこから始めれば良い。
それだけなのに。
何で、分からないのかな。
分かってくれないのかな。








何だかこう。
実写版のネギ先生の第4話見て。
昔書いてたオリジナルを思い出してみたり(え)。





流石に恥ずかしいんで。
ノーリアクション推奨で一つ(今更)。


2006年03月11日(土) やってもた……第二弾(何)。※ホントは071014.

なのはです。
しかも、コミクス版A'sを読んでいない方には。
ちょっと通じ難いかもです(えー)。
ぶっちゃけ、コミクス版A'sの「Epologue of ACES」の。
裏読みオンリーですんで(えーえー)。


「ちょっと、頭、冷やそうか?」



ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいっ!(平伏土下座)。
出来れば、散歩コースが良いです己的にh(蹴倒







バリアジャケットを纏う。
胸の奥から、力が湧き上がるのを感じる。
掌に感じる、確かな信頼。
解き放たれる、胸の奥の熱。
この気持ちは多分。
全力で向かい合う相手としか、分かち合えない。
それを確かめ合うことが出来る今が。
多分、何より幸せなんだと思う。




take a shot


「フィールド形勢!発動準備完了!」
彼女の力の籠もった声が響き渡る。
「お待たせいたしました、おっきいの、いきますっ!」
その表情は凶暴なまでに全力全開で。
間近に位置した私の頬を綻ばせる。
時間にすれば瞬きよりも短い刹那に、彼女の視線が私のそれと交わる。
「N&F、中距離殲滅コンビネーション!」
事前の打ち合わせにある筈もない掛け声が口を吐(つ)いて出る。
「空間攻撃!ブラストカラミティ!!」
チャージされた魔力が全身を駆け巡る。
その高揚感を、隣り合わせの彼女が感じない筈はない。
ターゲットとして捕捉した、あの子も。
「どっこい、こっちも詠唱完了や!」
目の前にかざした手指を鋭く揃えて、不敵に微笑む。
「広域攻撃Sランクの意地がある!!」
訓練場中に満ちる、びりびりとした空気が肌に痛い程。
それは、それぞれが限界まで高めた魔力と気力が弾ける痛み。
知らず、頬が引き締まる。
思わず零れ落ちそうな笑みを堰き止める。
全力を発揮すれば落とせないもの、貫けないものはない筈の、私の彼女の最大限の砲撃を、避けるでもなく真っ向受け止めてなおかつ、同じだけの魔法威力で此方を圧倒しようとするあの子。
背中を走る、心地良い程の慄き。
そう、彼女に逢うまでは、知らなかった。
自分の全身全霊を掛けてぶつかる事の、心地良さ。
「全力全開!!」
「疾風迅雷!!」
彼女と私の叫びが重なる。
戦場でだけ響き渡る、ハーモニー。
「ブラスト・シュート!!!」
非殺傷とはいえ手加減抜きの、魔道砲撃を。
まともに受け止めるあの子の頬が軽く歪む。
それはそのまま、私と彼女の頬に浮ぶそれと同じだと確信する。
響き渡る、破壊音。
堅牢な結界の中、乱反射するように暴走を始める色とりどりの魔法光が、訓練場中の建造物を次々と崩壊させていく。
飛び散る破片が、頬を掠めるのにも瞼を閉じず、私は呼吸の届く距離に在る彼女を振り返り、吹き荒れる嵐に耐えて此方を見上げるあの子を見据える。
――嬉しいと、思ってもいいのかな。
心の内にふと、零れ落ちた言葉に気づいたように。
彼女が、あの子が、ぐっと顎を引きつけながら私の視線を受け止め、鋭い視線を送り返してくる。
――もっと高く、もっと強く。
自分の力を信じて、良いのかな。
――この手に届く全てを守れるように。
――その為の力で、命やから。
ぞくりと全身を駆け巡る高揚感と共に、彼女たちの声が脳裏に響く。
いや、響いた気がした、それだけかもしれないけれども。
――有難う。
手加減抜きに、全てを突き通す強さで向かい合う。
私は……私たちは、多分。
何より大切で得難いものをこの瞬間も、築き上げている。
だから、それを、信じれば良い。
不確かで不条理なこの世にあって。
混じり気無しに、感じ取れるもの。


あちらこちらで燻り熱を帯びた残骸。
呆れ果てたように此方を見ている、私たちのリーダー。
訓練場をガードするに全力を使い果たして疲労困憊の、彼。
身体的な損傷はそう酷く無いものの、細かい傷を受けて脱力中の、あの子の守護騎士と私の使い魔。
それでも、罪悪感なんて少しも無くて。
あるのは、全力を出し切った後の、心地良い疲労。
「やってもたなあ……」
模擬戦中の激しさとは格段の落差を感じさせるあの子の声。
「やっちゃったね」
その言葉を受けて、悪戯っぽく微笑みながら呟いた、彼女の声。
「でも、楽しかったよね?」
そして、それらに正直に応える、私の声。
埃っぽく煙っぽい訓練場の空気に暫し、沈黙が満ちて。
「……ははは」
誰とも無く、笑い声が零れ落ちて。
呆れ顔の執務官を筆頭に、何が何やら、と肩を竦める周囲には申し訳ないと思いながら。
お互いが共通して抱いたこの爽快感を胸に。
私たちはいつまでもいつまでも、笑い続けていたのだった。








2006年03月10日(金) やっちまった……。※ホントは、070920.

初なのは(えー)。
時系列的には、StS開始前後。
なのはとフェイトちゃんが同室になってからって事で。












今でも、夢に見る。
掌に感じる、衝撃。
頬に触れる、熱い飛沫。
それが全てだったから。
掴もうにも滑り落ちる温もりを求めて。
何度も、何度も。
追い掛けて追い掛けて。




call me






「……ちゃん! フェイトちゃん!」

ずしん、と沈み込んだ後、一気に引き上げられる意識に、襲い来る眩暈。
ぐるぐると回るぼやけた視界の中、深い藍色が揺れる。

「……な、のは……?」

無意識にその名を呼んでから、それが彼女の瞳の色だと気付く。

「フェイトちゃん……」

ぶれる彼女の心配そうな表情に、少しずつ焦点が絞られる。ごくり、と唾を飲み込んだ咽喉が思いの外、痛い。

「どうした……の……?」
「……もう、」

やっとの思いで零した言葉に、彼女の表情が呆れた色に染まる。

「それは、私の台詞だよ!」

軽く頬を膨らませながら、彼女は少し乱暴に私の前髪をかき上げるようにして額に触れた。

「すっごいうなされてたよ?」
「私……?」

思わず呟き返したら勢い良く頷いてみせた彼女は、いつもより随分と幼く見えた。
そう、初めて逢った、あの頃みたいに。
気付いて、また、視界が歪む。

「フェイト、ちゃん……?」
「……大丈夫だよ」

応える声が、自分でも分かる位に震えている。その事実に、強く臍を噛む。

「私は、大丈夫」
「フェイトちゃん……」

さっきまで見ていた夢の事は覚えていない。けれども、何となく想像はつく。
崩壊する、閉ざされた世界。あの人の狂気を孕んだ儚い夢を閉じ込めた場所。永遠に目を覚ます事の無い、私の血と肉を生み出した源。差し伸べた手を最後まで拒んだのは、あの人の、余りにも哀しい、愛の深さ。
私が、求めて、得られなかったもの。

「大丈夫」

目を閉じて、深く息を吸って。

「大丈夫だよ、なのは」
「……駄目だよ」

呟いた私の言葉に被せるように、強い声。

「駄目だよ、黙って独りで、我慢しちゃ」

一つ一つ区切るように零された声に、驚いて見開いた視線の先、怖いくらいに真剣な眼差し。

「フェイトちゃんだって、分かってるでしょ? 泣きたい時に無理に我慢しちゃったら駄目だって」

差し伸べられた掌が、そっと頬に触れる。
いつだったか。
あの、優しい祝福の風を纏った魔道書の魂が空へ登ったあの冬。
二人で訪れた、その主である私たちの友人は。
自分が背負った罪や、自分が守るべき騎士たちの心を思って、涙一つ零さず耐えていた。
その笑顔が切なくて、哀しくて、私たちは。
私と、彼女は。

「……やだな、私」

それはもう、随分と前の事で。
でも、私の心を捉えて放さない記憶は、それよりも更に遠いもので。

「もう、大丈夫な筈、なのに」
「うん」

頬を滑る彼女の掌が、そのまま首を経て、肩を抱く。

「大丈夫だよ、今はもう。フェイトちゃんは」

でもね。
そういって、彼女は背中に回した手を軽く上下させる。

「消えないから。痛みとか、哀しみとか、辛さとかは、薄れたって、消えないから。降り積もるから。だから、我慢しなくて良いよ」

私の前では。
深い色の瞳が、真っ直ぐにそう語り掛け、柔らかく微笑む。

「……なのは……」
「うん」
「なのは……」
「うん……」

あの日。
何度も繰り返し呼んだ。
彼女の名前。
それは、私にとって、初めて手にした。
確かな光、だった。

世界の全てが足元から崩れ落ちて。
差し伸べた手は空を切り。
あの人は、私の想いを全て置き去りにして、虚無の淵へと、消えた。
永遠に、目覚めない、最愛の娘と共に。

それが、ただの拒絶では無かったのだと信じたい気持ちと。
決して、伝わらなかった想いの結末なのだと諦める気持ちとが。
いつまでも、いつまでもこの心からは消えなくて。
望まれて、でも、その期待に背いてただ、この世にある自分の生を。
疎ましく、重く思う心を捉える闇が消えなくて。

だから。
彼女の名前は。
私にとって。
文字通りの、光明で。

「な……のは……」
「うん、フェイトちゃん」

どんなに歳月が流れても。
多分、どんなに大人になっても。
消えない傷を、痛みを。
丸ごと知っていて、受け止めてくれた、彼女の名前が。
私には、文字通りの、光明で。

「なのは……っ!」

その温もりが、真実で。

「大丈夫だよ、フェイトちゃん」

縋る私の名を呼ぶ、いつもの彼女の声が暖かくて。
そうして、私は、夜の淵から立ち戻る。
繰り返し訪れる夜でも、明けない事は決してないのだと信じることが出来る。

いつか。
私の名前が。
誰かの光になれたなら。
遠い時空の彼方に消えた哀しい思い出も報われる。
そう、信じる事が出来る。

「……なのは」
「なぁに?」
「ありがと……」

胸元に呟いた声に彼女の、いつもの照れ笑いが振り注ぐ。


私がこうして。
独りでも歩けるのは。
なのは。
君が居るからだよ。
君が、私の名前を呼んでくれたからだよ。

その掌を掴み取って。
私は、再び、眠りに落ちる。
やがてくる朝を、待ち望みながら。
その光を心から、信じながら。



― 了 ―



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