桃缶な日々
2004年10月02日(土)  青春と歌舞伎町
今日、歌舞伎町の特番をやってました。
あたしは新宿生まれの新宿育ち、ぶっちゃけた話、歌舞伎町もバリバリの徒歩圏内だったので、子供の頃からちょいちょいと行っていたのです。
OLとして働いていたのも新宿。
上司や同僚、また友達と飲みに行く・・・なんて時は、必ず歌舞伎町でした。(笑)

今のところに引っ越してきて、歌舞伎町はおろか、新宿にさえ行く事もほとんどなくなってしまったので、今日の特番はもう「懐かしい!」のヒトコトにつきます。
故郷の風景で、山や川を思い出す人がいると思いますが、それと同じ思いが、新宿の高層ビル群であり、歌舞伎町や新宿のデパートなのです。

で、番組ではキャバ嬢やホスト達の厳しい世界を追っていたのですが、それを見ていたら、ずーーっと忘れてたちょっと甘酸っぱい青春の思い出を思い出したのです。

あれは私が高校生だったころ。(スゲー昔やね)
通学のため毎朝地元駅に向かう私に、いつの頃からか、ほぼ毎朝出会う男性に気付きました。
私がちょうど駅に入ろうとすると、その男性は駅から出てくるのです。
年齢は20代前半ぐらい、黒いスーツ姿で顔は爽やか好青年系。
えぇ、いわゆるイケメンっていうタイプです。

最初は気にならなかったけど、あまりにも毎朝同じ時間、同じ場所ですれ違うので、なんとなーく意識するようになったのです。
意識って言っても「好き」とか、そういう恋愛感情じゃなくて“今日もあの人いるかなぁ・・”なんていう程度。

でもそこは花も恥らう10代の私。
いくらイケメンだと思っても、あまりジロジロみちゃいけないと思ったし、あくまでも「一通行人」として過ごしていたのです。

そして2ヶ月ぐらい経った頃だったかと思います。
すれ違うだけの関係にちょびっとだけ変化が起こったのです。
いつもは目も合わせない、通行人同士の2人でしたが、ある朝彼の方から会釈をしてくれたんです。
そしてその翌日は会釈に笑顔付き。
さらに数日経つと、今度は小さい声ですが「おはよう」の声が!

今だったら“うっひょー!朝からイケメンに挨拶されちゃったYO!”とかなんとか思っちゃって、出会いのきっかけにでも発展させようか・・なんてコズルイ下心満々なんだろうけど(おい!)、当時はなんてったって10代、思春期真っ盛りの私。

ペコリと頭を下げてパタパタと改札に走るか、目もあわせず彼と同じように小声で「おはようございます」と言うのが精一杯でした。(こんな頃もあったんだってば!)

それからは今まで以上に彼の頃を意識するようになったのは言うまでもありません。
“これから出勤というよりも、何処からか帰ってきた感じがするけど、一体何の仕事をしているんだろう?会社員って感じじゃないしなぁ・・”

でもこのことは友達にも話さず、自分の胸の中に納めていたのです。
なんかほら、自分だけの秘密にして置きたいてことあるでしょ?

そんな朝のささやかな挨拶に胸をドキドキさせていた純情な私でしたが、ある時、神様の悪戯が起こったのです。
それは友人と歌舞伎町に映画を見に行った帰りのことです。
友人と「食事でもして帰ろう」という話になり、ネオンの光が街を灯す時間に歌舞伎町界隈をウロウロしていたのですが(ヤンキーじゃなくてよ(笑))、人ごみの中でふと立ち止まった時に、同じく立ち止まった人がいたのです。

そう、毎朝出会う彼でした。

ほとんど同時にお互いの姿に気付き、やはり同じタイミングで「あっ!」と言う言葉を、声にもならないような声で発していました。

彼の隣には夜のお仕事と思われる女性。
そして彼も、姿かたちは変わらないんだけど、朝の爽やか好青年という雰囲気からはかけ離れた、夜の街に住む住人独特の雰囲気を出していました。

“そっかー、夜のお仕事の人だったんだー。だから朝帰ってくるのね。多分ホストクラブなんていうところで働いているのかなぁ”(昔の高校生で咄嗟に「ホストクラブ」っていう単語が思いつくところが、都会の10代のスレたところよね(笑))

そんなことを感じながらも、なんだかちょっと傷ついてしまったのです。
何に傷ついたのかって問われても、未だに上手く言えないんですけど。
「爽やか好青年じゃなかった」ってことなのにか、彼の別の顔を見てしまったってことなのにか、理由はわかりません。

翌朝から、2度と彼に会う事はありませんでした。
夜の街で偶然に会ったとき、“多分もう会えなくなる・・”そう直感したけど、その通りの展開でした。
彼が私のことをどういう風に思っていたのかは分からないけど、私の方は会わなくなった朝に慣れるまでちょっと時間がかかったのは確かです。

もしかしたら“好き”になりかけてたのかなぁ・・あたし。













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