午後からちょっとダルかった。単に眠いだけなんだけど・・(笑) やっぱ仕事は忙しいのが好き。目まぐるしいくらいに働くのがいいなと思った。
帰宅したら発泡スチロールの大きな箱が待っていた。 親戚の叔父さんが届けてくれたそうで・・尾頭付きのでっかい鯛。 めでたいのね鯛は。すごく喜ぶべきね鯛だもの。
しかし!!嬉しくないよ〜ぜんぜん。 うろこバリバリだし骨は固いし・・どうするんだ・ってどっと疲れが出て来た。 でもありがたいことなんだ。今夜は新鮮な鯛の活け造りなんだから。 うう・・辛いけど頑張る。やってやろうじゃないか鯛め!
俎板の上に新聞を敷く。そして力任せにその鯛めのウロコを剥ぎ剥ぎしてあげた。 うう・・散るちるチル。どうしてそんなに散りたがるんだ鯛め。 悲しかったそんな鯛の根性が許せなくて・・・。
とにかく私に活力を。生臭い手でビールをプシュっと開けてひと口。 ああ・・ありがたい。エネルギーがどんどん湧き出て来る。 その勢いで鯛の頭を落とす。目が・・鯛の目が私を睨んでいたが・・。 じたばたするんでないぞ。おまえはもう・・死んでいる。
ぎゃぁ〜その時俎板の横に置いたビールがひっくりかえってしまった。 私はパニックになる。悔しくてたまらない。悲しくてたまらない。 涙が・・マジで出たんだ。鯛の存在がこんなに私を追い詰めているのだから。
男・・そうだった。ウチにはふたりも男が居るというのに・・・。 ふつう・・こういうことは男がするもんだ。板前さんだってみんな男なのに。
そしたら何て言ったと思う?「そんなに嫌なら捨ててしまえ」ですって。 信じられない・・もう顔もみたくないわ・・。
女はこういう時観念するものね。追い詰められた時こそ強くなるものなのよ。
そうして見事にやり遂げる。さすが私・・立派だわ。偉いのね。 青紫蘇を敷いたお皿に綺麗に盛り付ける。男たちの目が輝く瞬間であった。
美味しいそうだ。満足であるそうな。よかった・・頑張ったかいがあったんだ。
めでたいことはそうそうはないもの。今日がその日でよかったじゃないか。
私はまたビールを開けた。お刺身はとろりっとして最高の味だった。
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