爽やかな秋晴れ。降り注ぐ陽射しのなんと有難いこと。
秋桜はもう盛りを過ぎたようで切なげに風に揺れる。
芒はまるで青春を謳歌しているかのように輝いている。
背高泡立ち草は生き残るために風に身を任せようとしている。
私は秋の真っ只中にいていのちについて考えていた。
もしもある日突然があるのならばこんな日に逝きたいと思う。
けれどもまだまだと思う気持ちもある。
こころの断捨離がまだ終わっていない。
それはとても難しいことらしい。
少しでも永く生きてひとつでも捨てられたらと思っている。

午後は気温が上がりずいぶんと暖かくなった。
窓を閉め切った事務所に居るのが息苦しくなってしまい
西側と南側にあるドアを開け広げ風を通していた。
その間に看板猫のみい太が忍び込んだことに全く気付かなかったのだ。
事務所の二階は義父の住居になっており
みい太は台所まで行って悪さをしたらしい。
昼食を食べに二階に上がった義父が見つけ大騒ぎになった。
みい太は煮物を入れてある鍋の蓋を開けていたのだそうだ。
義父に見つかり酷く叱られすぐに跳び逃げたけれど
義父はもう煮物は食べられないと言って怒りまくっていた。
そのとばっちりが私に向かって来た。
どうしてドアを開けたのだと言い「暑ければエアコンを点けろ」と言う。
決して暑いのではなかった。ただ風に吹かれたかっただけなのに。
まるで「お前のせいだからな」と言わんばかりの剣幕であった。
それにしてもどうしてみい太は鍋の蓋を開けたりしたのだろう。
朝御飯もいっぱい食べていたので空腹だとは思えなかった。
二階に上がったのは初めてでただの好奇心だったのかもしれない。
父にはとても懐いていて許されると思っていたのだろうか。
私は常日頃から義父の顔色ばかり気にしているものだから
かなりのショックですっかり気が滅入ってしまった。
みい太のせいでこんな辛い思いをするなど考えてもいなかった。
メンタルの弱さをもろに突き付けられたような出来事だった。
こんな日はさっさと帰ってしまおうと思う。
車に向かったらなんと張本人のみい太が車の下でくつろいでいた。
「みいちゃん、悪さをしたらいかんろ」と𠮟りつけたら
目を閉じて寝たふりをする。聞く耳などまったく無い素振りをする。
そんなみい太の姿を見ていたら叱るのも馬鹿らしくなった。
そうして自然と笑みがこぼれて来る。
誰にも罪などないのだと思うとずいぶんと気が楽になった。
どんな日もあってよし。自動車道を時速90キロで走って帰る。
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