ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2025年04月18日(金) 純白の藤の花

曇り日であったがほぼ夏日となり蒸し暑さを感じる。

全国的にも夏日の処が多く島根では何と真夏日だったそうだ。

熱中症で搬送された人もいるらしくまだ4月なのにと驚く。

このまま季節が夏になるとは思えないが異常な暑さであった。


シャガの花。藤の花と咲き如何にも初夏らしい花たちである。

特に自然に群生している藤の花の何と見事なことだろう。

今日は真っ白い藤の花を見つけ感動せずにはいられなかった。

大木に絡みつくように咲いているのだがまるで大きな藤の木に見える。

最初は馬酔木と見間違ったがその純白はとても可憐な花であった。



早朝義父から電話がありもう田んぼの畔で草刈りをしているとのこと。

工場の仕事が余程気になっていたのだろう今日の指示であった。

大型車のクラッチ修理を午前中に済まさなければいけないと云い

車検整備や一般修理は全て断るようにとのお達しだった。

その口調は威厳に満ちておりさすが社長だなと思わせる。


職場に着くなり同僚に指示し予約のお客さんに断りを入れた。

幸い気を損ねる人は一人もおらず救われたような気持になる。

10時には大型車のお客さんが息子さんとやって来て

とにかく午後から使いたいから必ず直して欲しいと懇願された。

林業を営んでおり故障以来材木を運べなくてとても困っている様子。

さすがにもう限界なのだろう。気の毒でならなかった。


お客さん親子はそのまま居座り車の傍から離れようとしない。

同僚の緊張した顔を見るのもまた気の毒であった。

マイペースではいられないのだ。タイムリミットが迫っている。

私は何も出来ずただはらはらしながら見守っていたのだが

11時を過ぎた頃思いがけずに義父が帰って来てくれた。

そうして車の下に潜り込むなり手早く修理を始めてくれたのだった。

同僚には申し訳ないが義父の何と手早いことだろう。

同じ熟練工でも年季の入りようが全く違うのだ。

11時50分になっていた。「出来たぞ」と義父の声が響く。

お客さんは大喜びで直ぐに山林の現場に向かって行った。


しかしそれで一段落とは行かず午後からは半日車検である。

大型車の修理が済むまで長いこと待たせていたお客さんがいたのだった。

建設業を営んでおり現場の仕事に支障が出ているとのこと。

「みんな仕事をせんといかんがぞ」義父の一喝がある。


同僚のげっそりとやつれた顔。彼はプレッシャーにとても弱い。

ストレスにも弱く数年前には鬱病も患っていた。

心配でならなかったが何としても遣り遂げて貰わなければいけない。

励ませばプレッシャーになる。宥めつつ見守るしかなかった。


ブレーキとタイヤの不具合があり私は平田町の部品屋へと走る。

義父は中古タイヤを取りに四万十市内まで走ってくれた。

新品タイヤの在庫はあったがお客さんは中古を希望していたのだった。

なるべく安く仕上げてやらねばならない。義父はそれを一番に考えている。


皆で協力した甲斐があって4時前に車検が完了する。

書類を整えていたらもう4時半になっていた。

夕飯の買い物どころではなくなり娘に電話を入れて大急ぎで帰路に就く。

朝の峠道を今度は下る。その時に純白の藤の花を見つけたのだった。

慌ただしい一日であったが何とも心が癒される帰り道であった。


山あり谷ありの日々である。今日は大きな山を越えたが

谷が続いているとは限らない。また山が聳えていることだろう。
  
谷川のせせらぎに耳を澄ますそんなほっとする瞬間を待っている。



          綿毛

       ふわりと空になる
       何処に行くのだろう
       果てしない空である

       夢は遥かに
       遠くの野辺
       幼子の手に
       包まれた日

       春であることを誇り
       咲いたことを喜ぶ
       枯れ草の嘆きなど
       些細なことである

       ふわりと空になる
       青く澄み渡った旅
       生きてさえいれば
       きっと叶う夢がある

       何処に根付くのだろう
       想いはあふれ風に訊く













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