彼との時間
名前だけ書いたメールを送った。
すぐの返事を期待せず、携帯の電源を落として眠った。
硬直するようになった身体は、震えが来るようになった。
ガタガタ震えて、涙が出てくる。
悲しいから、嬉しいから泣くことはあっても
こんなふうに涙が止まらないのは初めてだ。
机にしがみついて、震えながら声が出ない。
また耐えられなくなって吐いた。
胃薬を久しぶりに飲んだ。
自分で調節しながら、徐々に減らしていけばいいと
言われていた。
元々、薬嫌いの私はすぐに飲まなくなっていた。
飲んで眠るつもりで、部屋に帰った。
パソコンに来ていた彼からのメールに返事する。
ごめんなさい ごめんなさい
他に何も浮かばない。
勝手な私は、メールの受信音に飛び上がりたくなくて
電源を切った携帯を握り締め眠った。
2時間ほどで目が覚めた。
すぐに電源を入れる。
数往復のメールをやり取りし、彼から電話をしようかと
言われた。
君に電話を入れた。
今日は来ないでほしいと。
突然、鍵を開けて入って来る音に飛び上がってしまうからと。
もう、眠りたいからと。
彼の声は優しかった。
素っ気無くもなく、投げやりな話し方でもなかった。
まともに話せなくなった。
言葉がすぐに出てこない。
最初は浮かんだ言葉を並べていた。
彼はあの日、私の名前を探したそうだ。
そして、今の状態をわからないながら
優しい言葉ばかりをくれた。
君が優しくないわけじゃない。
何度も大丈夫?と聞いてくれる。
なのに返事できないのは、目の前の私を見ながら
そんなことを聞かないとわからないのという反抗心。
彼と話しているうちに、仕事のことになった。
それなら俺の専門分野だから、よかったら協力するよ。
彼の専門だと前からわかっていたけど
こう言ってくれるのがわかっていたから、言えなかった。
君に説明するのに時間がかかることも
こんな場合は、彼ならすぐに答えてくれる。
話しているとだんだん落ち着いてきて
言葉が出るようになって、いつのまにか笑っていた。
今度そっちに仕事があったら行くから。
彼は遠回しに再会を仄めかし、私も笑って頷いた。
ありがとう ありがとう
久しぶりに笑ったよ
こんなのでよかったら、毎朝おはようのメールを
送ってあげる。
ありがとう ごめんなさい
小さな声しか出せなかったけれど
ありがとうとごめんなさいを繰り返した。
突然、私が悲鳴を上げる。
どんなに怖いのか、伝わってきたよ
今、リアルで共有した。
欲しかった言葉を全てくれた。
君が何度も大丈夫と言ってくれるのに。
私は君の言葉を信じない。
疲れてるから休んでいていいよ。
君は気遣ってくれるのに、受け入れられない。
もし、彼が目の前にいたら、君と同じように言うはずなのに。
私はおかしい。
だけど、彼からの言葉で落ち着いた。
厚かましい女だと思う。
図々しい女だと思う。
だけど、少し安心した。
2004年11月08日(月)
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