間違えたまま
君がデスクの中を整理していた。
引出しの中の雑多なものを見ていると、
たった一人で、真夜中まで仕事をしていた君の
数年間の姿が浮かんだ。
話し相手も、グチを言う同僚もおらず
たった一人で仕事をしている様子が浮かんだ。
君は独り言が少なくなった。
最初聞いたときは驚いたけど
一人呟きながら、深夜まで仕事をしてたんだ。
彼からメールの返事が来た。
とても素っ気無い。
これでいいのかもしれないと思ったり
この素っ気無さは、わざとらしいと思ったり。
激しさのない穏やかな関係を望んで手に入れた。
蜜月はなく、生活と仕事に追われる毎日。
私が恋しいのは、未だに彼だ。
未練を断ち切れなくて、いつまでも追いかけて
いるのは私のほうだ。
断ち切って欲しいと願って、そのとおりになった。
君には軽口をきく。
私の話に大笑いする。
ふとした瞬間
私はどこに行くんだろうと言ってしまう。
もうどこにも行きたくないと言ってしまう。
君は聞こえなかった振りをしたのか
なんて言ったの?と聞き返す。
なんでもない、何も言ってない
私は彼が恋しい。
君がたった一人でやってきたことに対して
感傷的になる。
だけど、恋情からではない。
私は間違ったまま、君と行く。
2004年11月30日(火)
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