彼が選んだのは
先週の金曜日、幼馴染からメールがあった。
なぜか彼女も覚えていてくれて、お祝いしようと待ち合わせした。
用事で青山にいるから、来てくれる?
表参道に行ったことないよ。
じゃ、B4出口のみずほ銀行の前で待ってて。
それまでも何度か誘われていたけれど、腰の重い私は
いろいろ理由をつけては断っていた。
数日前から風邪気味だった私は、それでも出かけようと
何を着て行こうか考えていた。
咳がひどくなり悪寒も強くなり、私はベッドにもぐりこんだ。
彼女は携帯を持たない主義で連絡の取りようがなかった。
待ち合わせ時間の15分を過ぎた頃、彼女から電話。
何度も謝って私は眠ってしまった。
19・20日でそっちに逢いに行くからね。
この約束は、彼の仕事の都合でなしになった。
この日より土日に来てくれたほうがいいからと、私はがっかりせずにいた。
23日が近づくのがいやだった。
彼といて彼に包まれていたかった。
だから幼馴染からの誘いを受けたんだと思う。
私の不安を聞いて、調整して連絡すると言った彼は、すっかり忘れ
25・26日に来ると連絡。
23日を眠ったままやり過ごした私は、彼が忘れていること
は気にならなかった。
テレビを観ず、ネットニュースも読まず昨日が終わるのを待った。
あのときを知らない人と、いたくなかったかもしれない。
一人でいることがいやなのに、誰とも話さずにいるほうを選んだ。
誰かといるなら彼といたかった。
今年だけは20日より23日を一緒に過ごしてほしかった。
彼がなぜ土日を忘れてしまったか、ようやく気づいた。
それどころじゃない目の前のアクシデント。
咳き込んで嘔吐と下痢を繰り返し、彼の心配は私にではなく
目の前の病人。
入院になるかもしれない不安を抱える相手と
ただ精神的に弱っている私とならば、彼の選択は決まっていた。
これが悲しい現実。
2005年10月24日(月)
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