深いところで
先月、彼がお揃いのストラップをなくした。
ショックを受けた様子が、短いメールから伝わったのに。

そのメールが着く10分ほど前に、強めの地震があり
私は、ちょっとしたパニックに陥っていた。
彼の落胆が、私には響かなかった。

今までも何度か落としそうになったり、千切れかけたりしていたから
大切に扱わないほうが悪いと思った。
そして、こっちはそれどころじゃないと思った。
あのときの私は
 たかがストラップごときで、騒ぐな。
としか思えなかった。
彼が地震を知らなかったせいもあった。 
彼のショックを、受け入れられなかった。

どれだけ愛してると言い、深く思っていても、
相手を全て理解はできない。

人は、関心のある相手を理解しようとする。
趣味を尋ねたり、共通の話題を探ったり。
自分の過去に照らし合わせもする。
恋の初めは、特にそうかもしれない。

結婚相手に愛情を持ち、不満なく生活していても、
似たような過去や経験をしている相手に出会ってしまったら、
理解してもらおうと、そちらに気持ちが傾く場合もあるだろう。

昔、彼に言った。
私たちは深い部分が似ているみたい。

少しの行き違いで、心が通じないときもあり、ケンカになることもある。
腹が立って口を聞きたくないときだってある。
それでも、彼と続いていくのは、
愛情はもとより、目に見えない共通の何かがあるからだと思う。
今更だけれど、あのとき彼と出会えてよかった。
何度も知り合う以前に戻してくれと、無茶を言ったけれど。
彼を失うなんて考えられない。


2005年11月03日(木)

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