いたずらに流れる時間
彼が組んでくれたPCが届いた。
大きなダンボールと床一面に這うコード。
片付ける場所を探して、あちこちのクローゼットを開ける。
椅子を運んで上ったり降りたり、持ち上げたり。
そしてPCそのもののカスタマイズで時間がどんどん過ぎていく。
前のPCからのデータを移せない。
彼が電話でイライラした口調になっていく。
一人じゃできないことがたくさんあるよ。
今度そっちに行ったらするから。
昨日も今日も彼は言った。
上げたり落としたりは、もう慣れた。
ケーブルの抜き差しも、見失ったデータをネットで拾うのも。
少々のことじゃ、へこたれなくなったよ。
ただ、彼の苛立った口調に慣れない。
仕事で過労になった時の、彼の口調だとわかってる。
言ったことを中途半端に覚えてる、私の鳥頭に苛立っていることも。
疲れきって余裕がなくなると、私だってそうなる。
二度と戻らないデータなんて、どうでもいいさと開き直るよ。
なくして惜しいものなんて、なんにもないよと言いたくなる。
悲しかったよ。
休日はPCの前にいたくないって言われた。
そのとおりだと思うけれど。
後悔してるの?
こんな形で私からの債務を消したこと。
勘繰り過ぎだよね。
テクもスキルもないから、心を探るような思考に彷徨ってしまう。
今日は少し穏やかになったね。
安心した。
昨日のままなら、私は残酷な八つ当たりを続けてるよ。
2006年01月14日(土)
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