知人が腰を痛めてしまって それの介護…とまではいかないけど ゴハンを運んだり、飲み物を配給したり 買い物を頼まれたり、何だか休まる暇がない。 別にこの知人が嫌いな訳ではないけど 本当、特定の人間としか話が出来ないので 一緒の空間にいるのは、途轍もなく疲れる。
動けない、寝返りさえうてない人間を見て 介護の重要さや大切さ、それの難しさを思い知る。 ちゃんと勉強しとけばよかったな… 知識ばかりは在るのに、それは実践とは違う。 現実を前にして、自分の無力さを知る。 触るのが怖い。手助けが怖い。
抗不安剤を飲んで、安定剤を飲んで祖母を迎えに行く。 落ち着いて落ち着いて、と考えながら話を繋ぐ。 祖母は笑わない。 あたしも笑えない。 祖母は老人性鬱だと思う。 けどそんなの云ったところでどうにもならない。 あたしは相変わらず病気だと思う。 だからと云って、何もかも免除される訳でもない。 家族と付き合わない訳にもいかないし 知人を放ってもおけない。
電話が鳴るのが怖い。 誰からか、着信を見て、また眼を伏せる。
タイプする右手に蝶が舞う。 生きる糧の名前がちらつく。 怖い、気分が悪い。 誰か誰か誰か。
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