戻りたくない。寝ても覚めても、全部色がなかった。冷えたソファーと冷たい自分の体が同化しそうだった。血まみれで朝まで傷口を押さえてた。怖いんだ。戻りたくない。繰り返したくないんだ。悪夢だ。そこにナイフがある。あたしはそれを手に取らずに、この感覚を、感情をやり過ごす手立てを知らない。そしてまた繰り返す。泣きながら藻掻きながらそして諦めに酷く似た眼をして。