薬漬けの内臓が、いよいよ異常数値を示す。
部屋中に響く、呼吸器の音が煩い。
隣には誰もいなくて それを理解した上で、幻覚を視る。
気道に通されたチューブの所為で話せない。
酸素を送られてるのに、息が苦しい。
機械的な呼吸に合わせられない。
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横紋筋融解症、膵炎、強度の貧血 いった薬が悪かった。 意識は戻らないかも知れない。 言葉は悪いが、戻っても植物状態だと…。
医師に告げられた旦那は、義母に 大丈夫、死にゃせんよ。明日には眼が覚める。 呼びかけたら、きっと返事もするよ。 翌日、その通りになった自分に義母は必死で呼びかけた。
あぁ、よかった。生きている。 あぁ、何故だろう。また死に損なった。
致死量を計算していた。 オーバーするだけの量を確実に飲み込んだ。 薬を流し込む手は冷たくなっていた。 それは恐怖だったのか。 あの日、確かに、死ぬつもりだった。 今度こそ、死ねると思った。 視界が歪み、フェードアウトする最中 さよなら、と床を見つめながら呟いた。
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そしてまた ICUで眼を覚ます。
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