聴こえない。聴こえない、聴こえない。アナタの声が、届かない。大したことじゃないと思った。支障があっても、それは業務に関してだけだと。左で音を拾えないなら、只、右で音を拾えばいいだけの話だとそう思ってた。そう、今でもそう思ってる。だけどアナタの声を逃した。その音を拾えなかった。それは余りに絶望する世界だった。容易く色を失くせる世界に只、只、只管立ち尽くした。あぁアナタの声が温度を持っていること知っていたのに、どうして。