ぶらんこ
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大好きだったひとが夢のなかに出てきた。 何年ぶりかの再会。 わたしのなかの彼は20歳くらいで留まっている。 最後に会ったのがそれくらいだったからだと思う。 夢のなかの彼はそのときのままだった。 わたしの姿はどうなのかわからない。 思考としては、今のわたしだったように思う。
わたしは島にいて、偶然、彼と会った。 驚いて、でもすぐに、あぁ彼は死んでなんかいなかったんだ・・・と、安心した。 会えてとっても嬉しかったし、今度はちゃんと話そう!などと思った。 でもどこかでこれは夢なんだという意識もあって、夢から覚めないうちに彼としっかり話をしよう、と心に決めていた。
わたしは海に行くところだった。 歩いてすぐの浜だ。 家を出ようとしたとき、目の前に彼がいた。 彼は魚釣りに行くところだった。 わたしたちはお互いの姿に気付き挨拶を交わした。 あれーーー。帰って来てたの?とかなんとか。 ものすごく久しぶりだったので、最初はふたりともぎくしゃくしていたけれど。
じゃぁ兄貴の船で沖に行こう、ということになった。 彼は喜んで、あいつとあいつも誘おう、とはしゃいでいた。 釣りの道具のなんとか(もう忘れてしまった)について、わたしの兄が多くのことを知っているからすごく頼もしい、とも言っていた。 わたしは彼が兄のことを知っているのを不思議に思ったけれど、なんだか嬉しかった。 そっかぁー。そっかぁー。 釣りのことはよく知らないし好きでもないのだけれど、兄貴が船を持ってて良かったー!と、心から喜んだ。
早速友人たち(ひとりはわたしの従兄弟)を呼びに行く、と彼が言うので、わたしも一緒に行きたい、と言った。 ちゃんとふたりになって話をしなくちゃ、と思った。 言わなくちゃならないこと、或いは、聞かなければならないことがあるでしょう。なぜかそんな気がした。
出かけようとすると、サンダルが片方しか見当たらなかった。 あれれ? 慌てて探すのに、玄関にあるのはどれも片方ずつのサンダルばかりだ。 なんでこんなにいっぱいあるの?というくらい、ばらばらに。 彼は笑いながら見ていた。 わたしは「待ってて、待ってて」と繰り返しながらサンダルを探していた。 「待ってて、一緒に行くから、待ってて」 最初は笑いながら探していたのだけれど、だんだんそのうち、夢から覚めてしまうんじゃないか、と不安になってきた。 消えてしまったらおしまいだ、もうどれでもいいや! そう思ったとき、やっと見つかった。 そのサンダルは外に置いてあった。わたしのじゃない。母のものかもしれない。 茶色で、小さな貝殻が花の模様になって飾られた、なんとも時代錯誤な感じのものだった。
わたしたちは一緒に歩いて浜のほうへ向かった。 少し遠回りになるけれど、海沿いの道を歩いて行こう、と言って。 ふたり、手を繋いで歩いた。 ちょうど良い潮風だった。 あぁ良かったー。こうやって一緒に歩けて。本当に良かったー。 わたしは安心していた。嬉しくて楽しくて心地よくて。 あぁでも何か言わなきゃ。。。。
そう思ったら、ふと、目が覚めた。 慌てて、夢のつづきを見ようと思って目を閉じたけれど、もう彼には会えなかった。 夢のなかで、彼は何か言いたかったのかなぁ?何か聞きたかったのかなぁ? いや違うな。 あれはあれで完結。そしてそれはわたしのなかに溶け込んでいったのだ。 あぁ〜。良い夢だった。
きみは相変わらずカッコ良かった! 嬉しそうに楽しそうにしてたから安心したよ。 夢のなかに来てくれてありがとう。 いつかまた、会いましょう。
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