ぶらんこ
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一緒にいたのは、たぶん彼の奥さんなのだろうと思った。 整った顔をした優しそうな女性だった。
彼女はバケツ型のバッグから、おにぎりやおかずやらをひとつひとつ取り出し、彼に見せていた。 おにぎりは、和布と飾り紐で包まれ、どこかの料亭でつくられたかのように、洒落た感じだった。 おかずはたくさんあって、それぞれちいさな器ごと、和布で包まれているようだった。 その中のひとつはコープの商品名だったが、佃煮か煮豆のようなものらしかった。 丁寧に包まれているので中身は見えないが、いずれにせよ、わたしは食べたことのないものだった。 彼はちいさな歓声をあげ、特性のお弁当を心から喜んでいた。 差し出す手のひらはやけに白く、そして、女性の手のようにほっそりとしていた。 ふたりで何やら話していたが、どこかへと引越しをするので、その準備をしているらしかった。 わたしは、けらけらと笑う彼の顔を見て、このひとの笑顔ってこんな感じだったのかぁ。。。。と思い、なんだかほっとした。
わたしはふたりを、空から眺めていた。
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