ぶらんこ
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Meals on Wheelsと呼ばれるボランティアに参加した。 日本でいうところの配食サービス(home-delivered meal program)だが、決定的な違いは、配達がボランティアで構成されている点だと思う。
このボランティアを知ったのは、教会で手渡される週刊誌からだった。2ヶ月くらい前だったと思う。 すぐに申し込んでみようかな・・と思いながらも躊躇いがあり、そのままにしていたら翌週、また募集がかかっていた。 それを見て決心がつき、申し込んだのだった。
Meals on Wheelsはカウンティ(郡)或いは市、町レベルで運営されている。 また、その名はさまざまで、わがカウンティでの正式名はCongregate Mealsである。 (congregate;集まる[める]=つまり、皆で集まっての食事。という感じかな〜)
初日。 告げられた場所へと少し早めに向かった。そこは高齢者専用のコミュニティだ。ほぼ中央にコミュニケーションセンターがある。 そこの厨房で食事が作られ、我々ボランティアによって配達される、という仕組みだった。 到着すると担当の女性が元気良く迎えてくれた。電話で打ち合わせした女性だ。 想像どおり、彼女は(控えめに見ても)軽く70歳を超えた感じの女性だった。 周囲にテキパキと指示を与えていて、小柄ながら貫禄があり、頼もしい限りだ。そのパワーに、一緒にいるだけで嬉しくなってしまう。 わたしが、まったくの初参加であることをあらためて伝えると、彼女は「あぁそうだったわね!大丈夫よ!」と肩を抱いて歓迎してくれた。
まず書面にサインをし、担当区域の小冊子を渡された。 配達する食事を確認した後、彼女の持つ書類とダブルチェックしながら配達方法を教えてもらう。 (と言っても、住所の確認程度で、実にあっさりとしたもの) 配達は8軒分だった。思っていたより少なくて、ちょっと安心。 小冊子には町の簡単な地図も入っているし、初心者でもなんとかなりそうだった。
食事は袋に入った飲み物やデザート類と、保温庫に入れられた食事のトレイである。 それらは順番良く並べられているのだが、配達先を間違ってはいけない、と慎重に何度も確認した。 この町の地理に詳しくないこともあり、地図とともにストリート名を確認しながらの配達だった。 また、名前を見ててっきり女性だと思って届けると男性だったり(その逆もあった)、 はたしてこの人は家族なのだろうか、まさか間違った場所なんてことは・・・ と、ヒヤヒヤしたのだが、後になって男性にも女性にもある名前だと教えられて目からウロコだったり。。。
そんなこんなで、初日は思った以上に時間がかかってしまった。 コミュニティセンターに空の容器を返しに行くと、ホールには既に大勢の老人達が食卓に着いていて、ちょうど食前の祈りを唱えていた。 (Congregate Mealsはコミュニティの住居者のみでなく町の誰もが参加可能で、車でやってくる方々も沢山いらっしゃった)
翌日からはかなりスムーズに配達出来た。 利用者さんともちょこちょこっと話をしたり、とても楽しかった。 中には無愛想というかunhappy,grouchyな方もいらしたが、まぁそんなものだろう。 独居という生活体形は、たとえそれが自身の意思であろうとも、やはり淋しいものだろう。 また、配達希望者というのは、日常のなかで外出することが困難な方々なので、尚のことだと思う。 しかしながら、大概の方々はにこやかに迎えてくれたし、嫌な思いをすることは全然なく、ありがたかった。 そして、あっという間に5日間が過ぎてしまった。
昨日は最後の日だったので、利用者さんにお礼を言いながら配達した。 利用者さんも、週毎に配達者が変わることを知っておられる様子で、お互いに「ありがとう」を言い合った。 お昼前、毎日1時間にも満たないほどの時間だったが、とても楽しく良い経験だった。 機会があれば、是非また申し込んでみようと思っている。
ところで、このように「気軽に」参加できるシステムが完成されていること自体が素晴らしいなぁ、とあらためて感じている。 配達のボランティアはわたし以外にも7〜8組ほどあり、その殆どが高齢者夫婦だった。 途中で気付いたのだが、こころの学校のシニアも参加していた。 どうやら、各々の配達ルートにより、ボランティアの依頼先(というのかな?)が決められているらしい。 各団体(教会とか学校とか)は、依頼された期間のボランティアを募集する。 わたしの教会の場合、期間は5週間で、各ボランティアの担当は1週間。 それが例えばひとりで1ヶ月だったら・・・なかなか出来るものではない。。。かもしれない。 前もって決められた短い期間だからこそ、やってみようかなー。と思えるのかもしれない。 (ちなみに、こころの学校のシニア達は毎日違うメンバーだった)
さて、あっという間に5日間が過ぎ、あぁこんな簡単なことだったらもっと続けても・・とも思ったのだが、 それくらいだからちょど良かったのかも・・・と、今になって思い直している。 なぜなら、色んな人が参加できる機会が沢山与えられること=マンパワーの充実。に繋がるのかな。。。と思ったりして。
最後に。 Congregate Mealsは月曜日〜金曜日の昼食のみだ。 一食分のコストは約$4.75となっているが、食費の支払いは義務付けられず寄付金で良いとされている。 ただし、利用者が60歳未満の場合のみ、総コスト分($4.75)の支払いが要求される。 もちろん、配達サービスを受けるのも、ボランティアで構成されているので完全な無料である。
この国のボランティアの歴史、意識の高さを感じる。
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