とじしろ
藤代冥砂が好きで、写真集を買う。 この人はグラビア写真家の仕事も沢山しているが、実は風景写真が素晴しい人だ。 なんでもない駐車場や都市の片隅なのに目が離せなくなる。 初めて見た写真はどこかの空き地の写真だった。廃棄された雰囲気はしていたが、 見捨てられた塀の上部を覆うように伸びた瑞々しい植物の匂うような緑の葉や 周囲に無関心に咲く 南国じみた花のせいで、不思議と荒涼とした乾いた感じはなく、 絶妙なバランスで組み込まれた蒼天に遥かな遠いものを見るような気がした。 そして、生々しいほどのリアリティ。
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