まみいの日記
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風は冷たいけれど春近しのきざしがあちこちにうかがえる うきうきするようなきょうの昼下がり。 私は一軒の家の玄関をがらがらと開けた。 とたんに 私を包むいいかおり・・・。 「いらっしゃい」出迎えてくれた奥さんに 私は挨拶もそこそこに「いい匂い 甘酒作ってたの?」 そんな私に微笑みながら奥さんは「今出来上がったばかりよ。 よかったら飲んでって」 出てきたばかりなのに すぐ台所へとってかえした。 私はこの家に遊びに来たわけではない。 ちゃんと仕事できたのだ。 仕事の最中にいくら勧められたからとはいえ 上がりこんで甘酒など・・・・正論が頭を掠めたが私はそれをおしやった。 奥さんは嬉しそうにしてくれているし私もうれしい。 ここで湯気を立ててる一杯の甘酒をいただいたとして それが悪い事とは思えない。 かえって固辞する方が奥さんを悲しませる気がして 「ありがとう いただくわ 私甘酒大好きなの。」 一口含むとトロっとした濃い目の甘酒がしょうがをきかせて私をよろこばせる。 ひとしきり甘酒の作り方などをやり取りした後奥さんはつぶやいた。 「作っても今の子は 飲んでもくれないの。」 「こんなに おいしいのにね。でも私も母に作ってもらったときはあまり飲まなかったかもしれないわ。年をとると判る味なんじゃないの。お宅のお子さんはしあわせよ。本当の味を知ってるんだもの。」 そうなのだ。ふっと思い出すのは母の味 こうして作っていたっけと思い出しながらやってみる。 いまは コンビニ弁当 冷凍食品全盛の時代だけれどうちの子達は 私の味としてなにを覚えてくれているのだろう?
甘酒のお陰で ポカポカあたたまった体と気持ちを心地よく思いながら 「久しぶりに私も甘酒こさえようかな。」 冷たい風さえ気持ちのよい今日の午後でした。
まみい
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