Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 Makoの罪悪感
2002年03月13日(水)

 月曜日の話なのですが、近くにある取引先に歩いて向かっている途中、道ばたに千円紙幣が1枚落ちているのを発見しました。「ラッキー!」と思いそれを拾い上げると、向こうの方から一人の小学校3年生ぐらいの女の子が顔を真っ赤にして、息をハアハア切らせながら走ってきました。
 その子は僕と目が合い、初めて会うのに小さな声で「こんにちは」と言うと、そのまま走り去っていきました。僕はそれを見て一瞬ためらいましたが、その子を呼び止め、「何か探してるの?」と聞きました。
 するとその子は「は、はい……」と答えました。今度は「ひょっとして千円札?」と聞くと、女の子は「……はい」と答えました。僕はためらわず、拾った千円紙幣を差し出して「そこに落ちていたよ」と言いました。女の子が「あ、ありがとうございます」と言ったので、僕は「気を付けてね」と言って、照れるのでその場から歩き去りました。

 きっと女の子は、お母さんに夕飯のお遣いでも頼まれて、途中でお金を落としたことに気づいて、急いで引き返してきたのでしょう。僕はそんなことを考えつつ、歩きながら「やっぱり良いことをした後は心が温かくなるなあ……」と思いました。
 しかし同時に、もし仮に、僕が千円紙幣を拾ったときにあの女の子が来なかったら、つまり、もう少しタイミングがずれていたら、たぶん僕のことだから、そのままその千円紙幣をくすねていたことでしょう。そう考えた瞬間、自分が恥ずかしくもなりました。そして、あのときあの女の子が来てくれて良かった、あの女の子が僕に千円紙幣を持って行かれなくて良かった、と思いました。


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