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verbal representation

2004年12月17日(金) Not

助けてと 声が聞こえた
考えてなんて居られない
君の元へと 急いで駆けつける

すすり泣く声だけは聞こえるけど
君の姿は見えない
扉も無い ただ薄汚れた壁が見えるだけ
小さな小屋に閉じこもった君は
煙突からの煙で私を呼び寄せたのね

小さな小屋の 小さな窓から
薄っすらと 君の姿が見えた
声を掛けても こちらを見てはくれない
『どうしたの?』
私には 手を差し伸べることさえ出来ない

『帰りたい』と言った君に私は尋ねた『そこはどこ?』
『わからない』そう答えが返った来たけど
今居る場所じゃないのは 君にも分かるはず

少しずつ 少しずつ 君は話してくれた
まるで自分をダブらせるように 過去に記憶が遡る
そう 同じような事を 私は思っていた
同じような所に 私はあの時閉じこもっていたのだ

その話を前に君にしたからこそ
君は私に話してくれた

そんな昔話があるからこそ
君に私は話すことが出来る

君を ここから導いてあげることなら
私なら 出来るはず

私の口から零れる言葉は
決して慰めの言葉じゃない
むしろ現実を君に叩きつけるような
そんな言葉だったかもしれない

でも 君なら分かってくれるはず
少しずつでいい 少しでも
聞いてくれるだけでも 大切なことは伝わるはず

ぼんやりと視界があやふやになり
何も無かった壁に 扉が現れた
鍵は向こうから掛かっているから
まだ私は 君に会うことは出来ないけれど

『ありがとう』囁く声が
微かに耳に届いた

伝えたかった事がちゃんと
伝えられたか分からない
伝わったのか分からないけど

君なら分かってくれると信じて
私は自分の家へと帰って行った


何かあったらまた呼んで
私なんかで良ければ いつでも駆けつけるから


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