トンネルを抜けた。
トンネルを抜けるといつもそこは、 晴れ渡る、眩しいほどの海と空。 右手には崖が荒々しく剥き出しなり、 それとはまるで正反対の、 輝かしい、透明な青。 真っ白な雲。
夏。
トンネルの暗さはもう何処にも無い。
だからすぐ忘れて、光しか見えなくなる。
そう、いつもそう。
それが悪いことじゃない。 でも、少し悲しいことなのかもしれない。
でも、とりあえず。 トンネルを抜けた。
真っ暗だったトンネルを潜り抜けて此処まで来た。
きっとこのまま走り続ければ、 トンネルが見えてくるんだろう。 大きいか、長いのか、短いのか、 それはわからないけど。
何度か止まった。 何度か振り向いた。 追い抜いたり、追い越されたりして、 トンネル壊してやろうかと思った。 走り続けることを終わらせてしまえば、 どんなに楽だろうと、そう思った。
何度も繰り返す。
愚かなことだとあざ笑う? それとも健気だと同情する?
ちっぽけだとしても、儚いモノだとしても、
・・・生きているのだから。
とりあえず、今は。
この道を走り抜けるしかないでしょ!!
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