…、死。は、なにも産みませんよ。
…、死。は、君達に、与えよう。
と言われた方がマシな事は山ほどある。
ピンチってヤツは、小さい壁が束になってやってくるからピンチなんだと、あるヒトが言ってた。
嘘。
虚栄。
裏切り。
揺り返し。
閉塞された世界。
哀しみに満ちた世界。
何もなく。
無い物など何もなく。
大丈夫。
きっと、大丈夫。
きっと、きっと、きっと大丈夫。
だからせめて、自分のノイズは自分で払うよ。
だから大丈夫。
三月なのに、思い出したかのような雪。
シャリシャリな冷たい粒に、風が手に刺さる。
あの部屋のそうだった。
なにも無い部屋。
なにもかも、世界の全てが存在する部屋。
扉を開けて。
眩しい太陽は笑ってたな。
笑いすぎて、そろそろ寝るトコだった。
そして走ったな。
大声を、上げて走った。
記憶の揺り返し。
フラッシュバックなのに、少しづつ時間を掛けて、思い出のノイズを消してゆく。
勝手に。
そう、勝手に。
自我とは関係なく。
それが苦痛で苦痛で苦痛で苦痛で。
だから、苦痛を自分に返してやる事で、もっと苦痛な記憶の形骸化を、阻止しているんだ。
真実は、汚い。
トロッコに乗って、手を取り合って逃げっていった二人はやがて齢をとり、嘘もつき、傷つき、傷つけられ、屁を漕いでゲップもしながら、事実を積み上げてゆく。
真実は、汚い。
汚い上に、獣臭がする。
汚物の山。
だがそれは、哀しみのやまではない。
むしろ、新生の喜びやもしれぬ。
だから、止まった時刻がソコに止まっていられるように、苦痛を戻す。
大丈夫、苦痛は科学記号が抑えてくれる。
だが時間の流れは科学では止められない。
過ぎた時間は戻らない。
だから、大丈夫。
その為の、痛みなんだと、
だからヒトは苦痛を感じるのだと
そう思うんだ。
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