そろそろ、肌寒くなってきたな。とてもいい曲が出来たんだ。母親の胎内で受精し、細胞が二つに、そして少しづつ命を形成するように、今は僕の手の中で細胞分裂を繰り返している。母親が妊娠すると周囲を避けるように、曲と言う命が芽生えた瞬間から、誕生するまで、徹底的に他人との干渉を避ける。意味は無いのだが、生理的なものだ。今まで何曲も、何十曲も書いてきたが、汚されたくない思いでまだ、発表していない曲がたくさんある。そんな一曲になりそうだ。だがいつか―そんな曲を、きいてくれるかい?