ありさかニキ
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家に着いた時間は夜の9時過ぎ。 我が家に帰ってくるなりコートも脱がずにリビングで号泣。 ハタチにもなった娘が恋の悩みごときでママに泣きつくってどうなのヨー。
有坂あさぎです。
ニックネームを付けるならアサギリウムでもチキンでもなく、せめて中坊にしてください。
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はじめての常磐線。 はじめての茨城県。
準備のためにまる一日空けていた昨日のオフは見事に体調不良でつぶれて、正直もう終わったと思いました。就寝時間なんて9時とかだし。マジ終わったかと思いました。肝心のお菓子作りといえば結局トリュフの中チョコをつくっただけでした。しかもトリュフの中チョコだし。つくったっていうか混ぜたっていうか。 でも今日は大爆睡あけで気分もすっきり。 朝の9時に目覚ましなしで起きて(ミラクル)、朝イチでお風呂入って無駄な憑き物とか恋愛運を下げてる呪いの精霊とか、リアルにいそうなそういうものを根こそぎ滅するように洗い流して、眉毛手入れもバッチリしたしすべすべローションも全身ぬったし、気合いは充分。 今からでも遅くないって、ママとチョコとクッキーつくって。自分で言うのもなんだけどなんていうか渾身の作で。ラッピングも出来合いのキットのおかげかめちゃめちゃうまくいって、若干気合いが入りすぎ感がしなくもないけど、でも実際気合いが入りまくっていたんだからそれもアリかなとかいろいろ考えつつ。 アイロンも1時間かけてやったし化粧にもあやうくそれほどの時間をかけそうになったけど、ケバすぎるのはよくないと思って結局いつもの20分メイク。時間をかければかけるほど取り返しつかないほど濃くなってってしまうからね。わたしの場合は特にね。だからちょっと自粛しました。 あんまりがんばりすぎた勝負服だとフラれた時にむなしすぎると思って、服もフツーの通学スタイル。ビリジアングリーンの膝下のプリーツスカートにボーダーのインナーと灰色Vのだぼニット。ネックレスとくしゅくしゅブーツ。コートはカーキでボタンは全開。ほんとあまりにもいつもとお変わりない感じになってしまったのにバスに乗ってから気付いて後悔したけど今さら遅いよねって話で。さらに調子に乗っていつものように薄着過ぎたのにも気付いたけどそれも今さらでした。 いつもと同じだけどなんか違ったカンジ。ドキドキしてあせりすぎて、常に何か忘れ物をしているような焦燥感。緊張して乗り換えの駅に着くたびにトイレに行って。…トイレに行きたくなるほど緊張するのって本当にはじめて。吹奏楽部でソロを吹く時だってこんなに緊張してなかった。
池袋から上野へ。
上野から牛久へ。
大好きな一曲をエンドレスで流しながら、なんだか電車の中で泣きたくなりました。緊張してたし生理中だし、いつものブッ飛んでてネジはずれてるあの有坂アサギはどこ行ったのってくらい、アタマの中暗いことばっかり考えてました。 大好きな友達だったのがいつの間にか大好きなヒトになってることに対しての恐怖感というか。何度も何度も失敗してるのに、またみすみす失敗しに行く自分に対しての嫌悪感というか。「友達にしか思えないんだよね」っていう、誰かの言葉が結局心のうらがわにはりついてて取れなくて。そんな今ふいに思い出さなくても。 2月14日に「友達」に会いに、片道950円もかけて何してんだろうわたし。ていうか何しに行くんだろう。こんなに寒いのに。せっかくバイト休みなのに。 都会と田舎を一進一退しながら着実に緑の多い方向へ走っていく大きなハコに乗りながら、読みかけの小説も鞄に入ってるのにひたすら音楽聴きながら景色を見てました。
もしかしたらこの先一生乗ることのない電車かもしれないから。 もしかしたらこの先一生見ることのない景色かもしれないから。
・・・・・・・・・朝の気合いの入れ様と比べて、時間が経つにつれてどれほどウツになっていったかわかりますか?時間とテンションでグラフを書いたらきっとどんなステキな方程式よりきれいな斜線が描ける自信があります。 だいたい聞いてた曲も悪かったね。もっと底抜けに明るいテンション系の曲にすればよかった。好きだからってそんな余計にかなしくなるような曲をエンドレスで流してればそりゃ気分もしずむって。
I miss your warm skin,beside me at night. I miss your flesh,in the dawn light. (うちの歌詞じゃないからすてきソングでもコピペ禁止よ)
単語間違ってるかも。ユーとユアー聞き間違ってるかも。けどまあそんなことは軽く問題じゃなくて。典型的なポップスタイルで1番2番が終わって間奏に入って、そのあとメロディーを2連続で歌うときに最初のメロを急にしずかに歌う技法(技法?)があるじゃないですか。わかりやすく言うとなんだろう、cuneのクローバーとかっていやいやわかるやつすくねー、とにかくポップではもう定番じゃないですか。しずかテイスト。 エレキの単音に乗せて、大好きなASHのかすれ声。あいみす。ゆあ。うぉーむすきん。とにかくせつない旋律なんですよ。なんかもう余計に泣ける。友達なのに絶対うまくいきっこないってずっと前からあんなにしつこく確認し続けてきたのに、それでもあったかい肌がずっとずっと恋しくて。missってたぶんニュアンス違うと思うけどそれは置いといて。 好きになればなるほどせつなくて。
こんなに一途じゃなくてもいいのに。
結局一度も眠くならないままただひたすら景色だけを見続けて約1時間。牛久。神奈川のイトコんちの最寄り駅にすこし感じが似てました。店舗のひとつひとつが無駄にでかい。道路も広い。のびやかな住宅街。制服姿がいように多い。いかにもジモティーな感じのコギャルも多い。スタバもドトールもエクセルもない独り身の若い女にはちょっときつい街。
「今うしくにいるんだけど」
そうトモキに電話するまで30分迷った。うしくで独りでうろうろして、きっとかなり不審な方向で目立ってたかも。とにかくわたしはテンション低いしきんちょうするし茨城は茨城でとにかく寒いし、なんとかこのこの期に及んで腐りすぎてる性根を元に戻そうと思って、相変わらず寒いまちをウロウロしながら友達に電話。 彼女と5秒でも会話すれば、きっといつものテンションに戻れると思ったんだよね。この前の電話でイヤッてほど気付いた。電話嫌いのわたしがたいした用もないのに自分から電話するのはきっと将来的に通して見てもこいつくらい。 何でもいいからしゃべろうよ。いつものくだらない会話でテンション上げてよ。
… プルルルー プルルルー プルルルー プルルルー …
つながらねぇのかヨ!!!!!!!!!!!!!!! 午後4時を軽くまわってましたが絶対に寝てるんだと思いました。予想は見事にてきちゅうしていたわけだけども。今日のわたしの失態のすべてが彼女のせいだとは言わないし、そんな理不尽でワガママで自己中なこと言ったってどうしようもないってわかってるし、彼女には何のあれもないんだけど、それでもこの電話がもし繋がってたら…って…まあ、今さらだけどね。ちょっと思わずにはいれないというか。 大親友に裏切られた気分でテンションはいっきに底辺へ。こんな知らないまちでこんな寒い日にこんな寒いかっこうして、ナンパのひとつもされないでこんなところにいる意味あんのかって自暴自棄で。 もういっこくもはやく用事をすましてとっとと帰ろうと思ってともきにメル。今ひま?長さに関わらずいつもと同じ10分ペースでトモキの返事。夜は用事あるけど今はひま。どうした? もうここまできたら当たって砕けろ。通話ボタン。
「どうしたの?」 「じつは今うしくにいるん」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。は!?」 「ごめん来ちゃった」 「え!?」
今から駅に来れるかって強引に誘い出して。 わたしは東口からちょっと外れた裏道でひたすらアークロイヤル。
寒いから絶対に車で来るだろうなっていう気はしてたのね。けどさすがにイキナリだっただろうし、もう何十分でも待つ気合いで。なんのための携帯灰皿だって、すべてはもう、今日この日のために買ったモノですよ。 牛久質屋の店先で30分。まじ寒くてメルーうつのも一苦労。5分置きくらいに鏡ばっか見てました。やっぱりもうちょっとしっかりチークとかマスカラとかやったほうがよかったかも。けどチークやりすぎはみっともないし。けど寒くて青い顔もきもいし。きのう生理こなければ美容院で前髪ととのえてきたのに。なんかヘンかも。風強いから直しても直しても髪が後ろになびく。なんかすごいヘン。どうしようヘン。
「何口?」 「ひがしぐち」
今どこよおにいさん。さむいよ。
「ちょっと待ってろーすぐ行くからな」
タイミングをはずさないともきのメルーがすき。まるっきり普段の口調とかわらない微妙な茨城弁とかだいすき。やばい今さらドキドキさせられても困る。どうしよう寒い。いろいろ寒い。テンション最底辺だし。すぐ行くとか言っときながら結局わたしタバコ3本吸ってるし。そしてまだ来ないし。 牛久は車がたくさん通る。小さな子供を助手席に乗せたお母さんが多かった。お年寄りの運転も多かった。半分以上の人が運転席でマスクしてた。もうそんな時期なんだ。大変ですね。 いろんなサイズのいろんな車をただ見送ってるうちに、あっというまに日が暮れてた。はやすぎ。そして寒すぎ。どうしようともきが来ない。今車おりた人ともきっぽいけど違うかも。あんま見てたら挙動不審に思われるから下むいとこう。寒いし。ゆびつめたいし。こんなに待つならあったかいティーでも買っとけばよかった。
「ごめん遅くなったね」
ともきだし。
それほど小さくも大きくもない車は夕暮れで色がいまいちよくわからなかったけどたぶん銀だったと思う。助手席に乗せてもらってトモキのうまい運転でとりあえずサイゼリアへ。そんなにおなかすいてなかったけどとにかく間が持たなかったから。 「めしでもくうかー」 煮詰まった時のともきの決まり文句みたいになってることに気付きました。
もういい加減じらしすぎですね。サイゼではふつうにごはん食べて微妙な時間がすぎていっただけで、とりたててこんな微妙なテンションで語るようなことはありませんでした。
有坂あさぎ。はたちのバレンタインです。
おもしろいくらい事態は進展しませんでした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ。 これだけ泣いてテンション下げといてなんですが、特にふられるというようなことはなかったです。嫌われたとかひかれたとか、そういうあれでもありませんでした。 けどかわりに何の進展もナイです。
どういうことかって。あれです。
チョコはあげてきたけど、何も言ってないんです、わたし。 ていうか本当に今日のわたしはオニのようにつまらない女だった。前のデートのとき全然しゃべれなかったのは緊張のせいもあるけどそれ以上に体調不良のせいだったと思ってたんだけど、もしかして結構ハナハダしい勘違いだったのかも。 ていうかばかかも。 なんてつまんない女なんだろうわたし。 いくらテンション低かったとはいえしゃべれなさすぎなんですけど。それほど緊張してたしチョコあげるとき何て言おう何て言おうってアタマん中そればっかりで、久しぶりに会ったらスキすぎてスキすぎて、とにかくもうどうしようもない状況で、間違ってもくだらない会話で仲良くアハハとかそんな空気じゃなくて。 ともきもいつもみたくあんましゃべんなかったけど、それ以上にわたしが黙ってたからなのか、なんか頑張ってたように見えてしまった。25日のデートのデジャブみたい。わたしとともきの立場が逆転したみたいなそんな感じ。とにかくナニって、わたしがうまくしゃべれてなかった。 ともきだって全くいつもと同じってわけじゃなくて。何を思ってるのか何を感じてるのかわからなかったけど、とりあえず照れたように笑ってたのは嬉しかったのか困ってたのかどっちだったんだろう。
「まさか来るとはなー」
すごい行動力だなーって言ったのは嬉しかったのか呆れてたのか。そんな曖昧な笑いでごまかされちゃわかんないんですけど。ていうか今日この日にわざわざ東京の片隅から牛久まで、わざわざチョコを届けるためだけに来たわたしの気持ちを本当にわかってたのかなこの人は。
「俺もう今年は誰にももらえないと思ってたよー」
いやいやそんな情報いらないから。たぶんそうなんだろうなってわかってたから。そんなことが聞きたいんじゃないから。そんなことを言って欲しいんじゃないから。
「じゃあ、ありがとう」
もう終わりカヨ。
ありえない。 なんにもしゃべってないのに終わった。
ていうか男の前でこんなにしゃべれなくなる自分がすごいきもい。ありえないこんなのわたしじゃない。ていうか今日のわたしはなんかわたしじゃなかった。こんなにしゃべれないの異常だよ。25日のデートとまったく変わってないよ。
こんなにしゃべれないからますます自信がなくなったんだよね。
こんなつまんない女と一緒にいても楽しくないかも。
ちょっと前はすごい友達で。シャイボーイとうわさのともきが、それでも、わたしとはフツーに会話をしてくれるのが優越感みたいな、そんな、かんじで。だったんだけど。 けど違った。 わたしがしゃべってたのはともきじゃなくてまさゆきたちの方だったのかも。ともきはずっと隣にいただけで元からそんなにしゃべれてなかったのかも。 一緒にいてこんなに息詰まるような女だったんだわたし。
もうありえないショック。
スキだからこそこんなに調子が狂っちゃうわけだけど、これって不毛な悪循環だよね。スキじゃないときのほうが居心地いいなんて冗談じゃないよね。 どうしよう。 まじで何しに行ったんだろう今日。
ともきはわたしからチョコもらってどう思ったんだろう。 ありがとうは言われたけどそれしか聞いてない。 今日のありえないわたしの様子からたぶん気持ちはバレてると思うけど。 でもともきのことだからまた直接的な言葉がナイからってなかったことにしちゃうのかな。
せめて本命か義理か聞いてほしかった。 照れる前にチューのひとつでもしてほしかった。
なんであんな男らしくない男スキになっちゃったんだろうもうやだ。
何がやだってこんなに調子狂ってる自分がいちばんいやだ。
ともきがどんどん遠い人になってくー・・・・・・・・・・
…だってまじありえないもん。今日いちばん嬉しかった言葉がまっこの「さっちゃんのチョコがいちばんウマイ」ですよ。あいつ結局学校で5個もチョコもらってきて。いつのまにアンタ。今年は絶対ナイってあれほど一緒に夜なげいたのに裏切り者め。
けどもうやっぱりわたしにはまっこしかいないです。。
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