ことばとこたまてばこ
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凍える冬の日、森の中でちっとおっきい音無し子が枯れ枝をちっちゃな音無し子に手渡した。 「それを折ってみてごらん」 ちっちゃな音無し子、細い両腕に力を入れる。 枯れ枝がキシキシキシシシしなってゆく。 ちっちゃな音無し子、かわいい顔ゆがめてさらに力をこめる。 枯れ枝はパギャッと響いて折れた。 ちっちゃな音無し子の両手それぞれには鋭い切っ先の木の枝。
「それは骨の折れる音でもあるんだよ」 生まれつき音を聞いたことのないちっとおっきい音無し子はそう教えた。
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