ことばとこたまてばこ
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突風が唄を運ぶ。
おめえの唄はこの海のどこまで、この海のどの深さまで届くんだ。
唄が動く、さざめく、ざんざめく。
まったくおめえの唄はまるで毒だ。
こんこんと深い眠りを誘う唄だった。
違う、唄がわたしを認めてくれたの。
唯ひとつ残ったかがり火を分かち合うような丁重さで唄は全てから全てへ連なっていった。
唄うときはゆっくり心をとろかせるのよ。
蛇に、鶏に、鮪に、雲に、そして海に唄は寄り添った。
屍と肩を組んで楽しく踊っているときに自然と生まれるような唄をわたしは唄っているの。
血混じりの唄は赤くて青空と大海原に見事なほど映えた。
わたしの唄は断罪の唄なのよ、でもあなたは救えないわ。
唄が、海に、しぶきをたてて、血を流して、沈んで、しかし海の底でなおも響き、徐々に海は曲がりゆきて。
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