不機嫌なブーケ QLOOKアクセス解析

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2006年06月07日(水) 美容室にて。


美容室に行って来た。

退院してから鏡を見たら、有り得ないほど白髪が増えていた。
子供を産んだ時もそうだった。 身体に負担がかかると白髪が増える。

どこかにがいるなら一度聞いてみたい。
何故痩せないのに、白髪ばっかり増えるんですか。


私より2歳年下の店長は いつもテンションが高いが、今回は低かった。
子供の運動会で体力を使い切ったのか?と思ったがさにあらず
「今年に入ってから何やっても駄目」 なんだそうである。
「昔は多少の無理が利いたけど全然駄目になっちゃって、気力も何だか」
そう言いながら、私の前髪を撫で上げる。「うっ」 白髪がこんなに。
「現実を直視するのは苦しいですか?」
くそう、他人が凹むのを見て、浮き上がろうとしているな。


この日はいつもの美容師さんが一人お休みで、忙しそうだった。
私に付いてくれたのは、この店に最近入ったばかりの人だ。


25歳だと言う彼女は、実は一見30を超えているように見えた。
美容師さんは華やかでほっそりした人が多いので、珍しいタイプだ。
そして、自分の事を これまた良く喋るのだった。
シャンプーしながら、同棲中の彼の事を喋っている。彼は年下で
仕事柄すれ違いが多いが、自分が一人暮らしで、彼が実家なので
気が付くと同棲と言う形になっていたと言う。
「どうでしょうね」
と話を向けられて、私は困った。励まして欲しいのかと思う。
「ええと、知ってる人で良く似たケースが2つあるけど
今は結婚して幸せになってるよ」
幸せになっていると言う部分は半分だ。洒落にならない相談の電話が
突然来たりする。でもまあ、結婚しているのは本当だし・・・
「そうですかあ」
それほど、嬉しそうとも取れない返事。

カラーリングも彼女がしてくれたが、上手だなと思った。
この時はほとんど、カラーリングに集中しており、彼女は無言だった。


再びシャンプー。 大変なのは、実はここからだったのだ。
同い年の 別な男性が、話に登場して来た。その辺りから彼女の手元が
怪しくなって来た。 夕べも河川敷に二人で遅くまでいたと言う。
「そんな〜そばによるとチュチュチュチュウしちゃうぞって言うからあ」
何故かそこだけ、DJがレコードを回す時みたいな音を出した。どもったらしい
「いやちょっと寒いだけだけだからっ本当に寒いだけだからねって」
「・・・今時の夜の河川敷は、まだ寒いでしょうねえ」
私は何を言っているんだろうと思う。

シャンプー泡が耳に入った!しかも結構大量に。
彼女は話し続けながら、泡を取り除いたが話は止まらない。詫びもない。

「で、だけどお前彼氏居るだろうって言うから、でも誕生日プレゼント
買ってもくれないんだよ
って言ったらオレが代わりに・・・」

シャンプーが終わり、ブロウも仕上げ以外は彼女が担当した。
「彼は音楽をやりたい人だから、じゃあ歌ってって言ったら河川敷で
特別に〜とか言って歌ってくれて」
「ええと、それは23の彼?」
「あ、違う違う別の彼」
「ああ」 初めは判っていたつもりの話が段々解らなくなって来た。

「で〜調理師免許があるから、今度料理を作ってやるぞって」
「ほう、それは羨ましい」

この反応は本心だったりする。
私は手が小さくて指も余り長くない。料理学校で、太い大根のカツラむき
やっている時、不器用さも手伝って指を切り、流血してしまった。
男の人が大きな手と長い指で、悠々とカツラむきをする。素晴らしい。

髪の毛は既に乾いている。 やっぱりこの日は人が足りずに忙しくて、
店長は別のお客さんから中々離れられず、仕上げに回って来られない。
彼女は私の髪の毛のすそを愛おしげにうちまきに指で巻きはじめたおい

「で、今度ノベルサ(飲食店街の微妙な名所)に連れて行ってくれる事になって」
「・・・。ああ、その25歳の方の彼が」
「はい〜、でも私、彼氏いるよ?ってちゃんと言ってるからいいですよね」
ノベルサの観覧車ってさ、一つだけ黄色い箱があって、それに乗ると
幸せになれるんだって聞いた」

入院中に聞いた話を無責任にたらい回す。

えええええっ本当ですかっどうしよう、それって付き合っちゃうって
事なんですか??」
「いや、幸せになるって聞いたなあ、幸せになるのは良い事だよね」
うわあああああ、息子さんとは行かないんですか?」
「光るの綺麗だから見せてやりたいんだけどね、寝てる時間だから」


やっと店長が来てくれた。
仕上げを済ませ、会計を済ませ、いつもは挨拶に店先まで来る店長が
出て来ないのでおかしいなあと思っていると、ずっと彼氏の話をしていた
彼女がちょこちょこっとやって来て
「あの〜私、もう直ぐこのお店やめるので〜」

ええええええっ 何故かとても驚く。

「お世話になりました〜」 って入ったばっかりなのになあ。


そうか。そう言えば 少し前にも美容師さんが変わっていた。
店長は店長として頭の痛いこともあって疲れているのかも知れないな。
3人の子の父。ご苦労な事です。
だけど、カラーリングは上手いけど、あの子は確かにこのお店には
余り合わない気がするもんなあ。 辞めると聞いて驚いたのは
惜しいと思ったからじゃないし。

仕上がりは気に入ったけど、こんなに疲れたのは初めてだ。

「もう直ぐ、階下に出来る魚屋さんにボクから言っといてあげますよ
リリオペさんと言う人が来たら、声を掛けないで、そっと品物を
選ばせておいて上げて下さいって」

次に行く時は、店長の体力や気苦労の問題が少しは軽減されていると
いいと思う。 それと私の白髪も。





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