Cafe*桜*BISCUIT
「にんじん! にんじん!」
母親が「来年こそカナダ!」と鼻息荒くしています。本当は去年の予定が、目当てのプリンスエドワード島観光が時期的に合わないということで中止、代わりにハワイになったのでした。
プリンスエドワード島は赤毛のアンの作者、モンゴメリーの生まれ故郷。そこが舞台になっただけあって、作中に登場する家や風景がそのまま保存されていて、赤毛のアン好きの母が行きたがるのも無理からぬことと言えましょう。
そんなわけで実家には赤毛のアンシリーズが全巻あり、私も物心ついた頃から読んでいていまだにお気に入りの1冊となっております。
話もいいけど、村岡花子さんの訳がまた素晴らしい。日本で初めてアンを訳した人だそうです。原書を読んだことはないのでどのくらい原文に忠実なのかわからないけど、今から見るとやや古臭い文体が逆にいい。いろんな訳者のを読み比べた結果、やはりこの人のがダントツです。中でも好きなのが次の場面。アンがギルバートに赤毛をからかわれて怒るシーンの描写。並大抵の怒り方じゃありません。


「ひきょうな、いやなやつ! よくもそんなまねをしたわね!」
そしてアンはバシンと石板をギルバートの頭に打ち下ろして砕いてしまったーー頭ではない、石板を真っ二つにしてしまったのである。アヴォンリーの学校ではいかなるときも活劇を歓迎したが、ことにこれは素敵なので、皆は恐れをなしながらも嬉しそうに「おお。」と言った。


今なら学級崩壊とかキレる17歳とか言われそうだけど、子供たちにとっては「活劇」! この言葉選びのセンスがたまらん。
ひさびさに読み返したらまた興奮してしまいました。なので私自身もまた、来年のカナダ旅行を楽しみにしているわけで。問題は言葉の壁で。カナダってカナダ英語だっけ? 普通の英語でさえお手上げなのに…ハワイで英語しかわからない韓国系タクシードライバーに「お生まれはどちらなの?」と丁寧な日本語でお尋ねになったうちの母上様がなんとかしてくださるかしら。かもめ食堂のマサコさんのように。
2008年09月30日(火)

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