
僕には聞こえる。
あなたの溜息が。
隣の人の溜息が。
飛び出せ!逃げ出せ!!この世界から。
秋の帰り道は妙心寺をよく通る。
すき焼きの匂い。
その外にはガードレールの影が伸びる。
退屈な授業から解き放たれ、目を輝かせて楽しそうにお喋りする高校生。
さっきすれ違ったセーラー服は初恋の人・・・
僕の足元は余計覚束無い。
もうすぐ御池通り。
手をつないで帰る学生を、僕は自転車で抜きさる。
ふらふらペダル漕いで回り道。
雨上がりの自由を鼻歌に乗せる。
よくよく考えたら効率主義な遠回り。
僕はこんな時間が好きだ。
好きと言えないまま終わるより、そっちの方が好きだ。
好きと言い忘れるよりも、そっちの方が悲しい。
西院までもう少し。
浅くかぶった帽子が飛ばされないように、僕はここから飛び出す。
僕は下向き全力失踪。
ヒタムキニ全力失踪。
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