2005年06月29日(水) |
剛君に演じてほしい作品 |
剛君は『海峡を渡るバイオリン』で、在日韓国人の陳昌鉉さんの半生を演じました。 在日韓国人で素敵な方はたくさんおりますが、私が好きな作家に立原正秋さんがいます。 死の二ヶ月前に日本人に帰化した立原さんは、純粋の韓国人でした。
ところが、純粋の韓国人だと世間が知ったのは、立原さんが亡くなったあとです。 立原さんは父母は共に日韓の混血で、 父は李朝末期の貴族、李家の出身だと公表していました。 生前、立原さんが公表していた出自は謎が多かったといいます。 作品集に載せる年表を頼まれた方が立原さんにその謎を問いかけてもあやふやで、 もめて断った人もいたという。
私が立原正秋という直木賞作家の本を少しでも読むようになったのは、 亡くなる5、6年前でしょうか。 偶然読んだ芥川賞候補作品、『薪能』を読んでからです。 それまでも新聞に載ったエッセーは読んだりしていました。 とても明快で雄弁で小気味のいい文章です。
立原さんの両親は日韓の混血ではなく純粋の韓国人でした。 父は李朝末期の李家出身の貴族でもありませんでした。 死後、それを世間に知らしめたのは立原さんが大変可愛がって親しくしていた、 『北の河』で芥川賞を受賞している高井有一さんです。 高井さんは深い愛情と思い入れをもって立原正秋の原点を探ったのです。
『薪能』は没落した旧家の血を引く従姉弟同士が心中するという作品です。 私はこの作品を男性を主人公にして、剛君の作品にしてもらいたいのです。
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