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日々闇雲日記。

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2005年10月10日(月)
死なしたくない奴ほど早く死に、どうでもいい奴らほど長く生き残る


 ども。
 深夜のネットサーフィンで、杉浦日向子氏と三谷一馬氏が今年7月に亡くなられていたとの事を今頃知って、脱力している管理人です。
 実は管理人、このお二方の著作は時代考証の資料と好きを兼ねて、ほとんど読んでおったりします。
 杉浦氏の『とんでもねえ野郎』にくすりと笑い、『百物語』に闇のひそやかな息づかいをそくそくと感じ、『百日紅』の洒脱にして放埒、風狂にして粋を極めた北斎先生親娘の生活と、彼らを包む江戸の日常の空気に憧れ、三谷氏の繊細な筆致で『江戸吉原図聚』『彩色江戸物売百姿』『江戸商売図絵』などに活写された暮らしと、豊かな考証に裏打ちされた解説を愉しませていただいたものです。
 これらはどれも、歴史学者の著作にけして負けない極めて良質な資料であり、そして当時の空気を知らぬ(知ろうともしない無精な)読み手の手をいつも優しく引いて、万華鏡のような江戸の街にそっと連れていってくれた、最高の娯楽作品でもありました。
 遅ればせながら、ご冥福を謹んでお祈りいたします。

 ・・・・・・・・しかし好きな著名人の死を数ヶ月後にネットで知るってのは、山田風太郎御大や中尊寺ゆつこ氏のご逝去を知ったときと、全く同じシチュエーションで、タイミングを外しているから嘆ける相手がおらんのよな。

 ・・・・・・・・さて、あとは最近観た映画の話をつらつらと。

『チャーリーとチョコレート工場』
 ウンパ・ルンパのウンパ・ルンパによるウンパ・ルンパの為の映画。
 何も言わない。とにかく今すぐ映画館行って観ろ。そして緻密に計算された馬鹿っぶりにしこたま笑え。
 主演のジョニー・デップは私が観てきた映画の中ではなんとなく『イカレ映画のイカレた役を演るのが好きらしい実力派俳優』のイメージが強かったが、やっぱ素敵なイカレ俳優だとこの映画であらためて確信した。
 いいぞデップ。どんどんこれからも己の道を貫いてくれ。

『SHINOBI』
 す、すいません、観たら原作と比較するに決まっているので、期待など絶対にせぬように覚悟して(そこまで言うか)、出来るだけ別の作品と自己暗示を掛けて劇場に行ったのですが、・・・・・・・・・

 ここまで(ひどい)と思わなかった。

 勿論忍法帖抜きで。内容的に。もう多すぎて見あたらないぐらい色々と。
 どんなに贔屓目に見ても語る気も起きない駄作ってあるんだなあという感じだが、とりあえず、あきらかに「うちら忍者を描く気がありませんよ」と観客に提示している映画であのタイトルはもはや詐欺じゃないかと。
 しかし原作の朧が映画の仲間嬢並に強く、弦之助がオダギリ並に度を超えたドリーマー青二才で、天膳があそこまで(まだ)まともな事言ってる人だったら、伊賀チームは1日で甲賀にボロ勝ちしていただろう、とちょっと思った。

『セブン・ソード』
 監督は香港のスピルバーグ(古い)徐克、音楽河井憲次、出演ドニー・イェンという、観る前から管理人のツボを北斗神拳でいちいち突きまくった、黒澤明の名作『七人の侍』オマージュ映画。
 徐克の映画はビデオを借りてもここ数年微妙にハズレが多く、また数時間前に観た某忍者映画の激しく予想を超えたヘボぶりに疲れ果てていたので、
「これまでつまんなかったらどうしよう。・・・・・・・・・」
 などと投げ遣り気分で行ったら、意外に(?)隅々まで丁寧にしっかり作られていて、予想以上に楽しめたどころか、久々に脳からアドレナリンと萌えが同時に大放出される、極上のアクション武侠片でございましたよ。

 これだよ、私が休みの日に雨の中、人混みの中をわざわざ出てきてまで見に来た映画に求めていたのは!!

 最近のアジアアクション映画は『MUSA』を観た時でも思ったが、内容といいセットといいハリウッド映画に迫る、もしくはそれ以上の出来のものが作られているってのは単純に嬉しい事である。
 (もっとも映画の出来はその国の経済発展や文化レベルの高さを表しているという説もあり、数時間前に観た国産某忍者映画のヘボぶりとつい引き比べて、なんか民族レベルの敗北感さえ感じさせられたが)
 やっぱり力量のある人がきちんと作り込めば、活劇ってここまで面白いんだなあ。
 そしてやはり劇中に流れる河井憲次の音楽(今回はウェスタン風)には、アドレナリンが出させられまくり、やっぱり帰りにタワレコでLPレコードみたいな超特大ジャケットの輸入盤サントラを買ったのでした。

 さーて次は『シン・シティ』観に行くぞー。