あの鐘を鳴らすのは私。 - 2006年12月10日(日) 退職日が近づいてきた。 年明けすぐの婚礼の予定も続々と明らかになりつつある。 無理や。 あの2人じゃ絶対無理や。 どうするつもりやねやろ? まず、1月第一週の週末から婚礼が入り、日曜日には ブラフェが待ち構えている。 もうその時点で無理なんじゃないかって私は思ってる。 しかし。 シェフとヨークさんの2人は、いたって悠長なもんである。 なんでそんなに余裕? ねえ。 分かってる?私いなくなるの! 今と同じぐらい婚礼の件数こなすのに、私がいなくなってるの! ホンマに分かってる? こりゃいよいよヤバイと思った私は、ヨークさんに 聞いてみた。 「ヨークさん、私が辞めた後のこと、具体的にどう 考えてますか?」 って。 そしたら、 「とりあえず、今のうちに頑張ってストック作っておこう かな〜と思ってる。後はまあ、朝早く出てきて遅く帰るしか ないんじゃないかな〜。体がいつまでもつか分かんないしね〜」 という返事が。 エッライ悠長にかまえとんなアンタ! というのが率直な感想。 それで事足りると思ってんのかホントに。 こないだのブラフェ、ヨークさんは7時に出勤して、私は 電車遅延で遅刻して8時過ぎに出勤して、9時過ぎには アルバイトの子もヘルプに呼んで、それでやっと10時の 開場に間に合わせたんですよ!? それを、それを、シェフとヨークさんだけでやると? 本当にやれると・・・? 「いや、ヨークさんね、もし、もしですよ。 ヨークさんが辞めちゃう人で、私が残される側だったと したらですよ。私、シェフと真っ向からケンカしてでも 後釜入れろって直談判しに行きますよ。それでもどうしても 人材が見つからないんだったら、自分のつてを探すなり、 後は、今辞めようとしてる人を引き止めるぐらいのことは しますよ!?それくらい、必死になると思う!」 と、熱を帯びて話しました。 「もし、シェフから何かひとことでも 『残ってもらえないか』的な相談があったり、シェフの態度に 必死さが見えたら、私だってちょっとは退職時期延ばそうかな とか考えようかなって思ってましたよ。」 とも言いました。もしかしたらヨークさんが、じゃあ 残ってくださいぐらいのことは言うかなと思って。 でも、私が言いたいことはほぼ100%伝わってなかった。 何を言っても生返事しか返ってこないし、だいたい私が 言ってる意味が分かってたかどうかも怪しい。 退職した後、ヘルプの電話がかかってくるなんて、絶対に ゴメンだ。 しかも、一旦電話がかかってきてしまったら、断りきれない 自分がいそうな気がして、すごく嫌。 何だかんだで、働いてしまいそうで嫌。 妹ちゃんが辞めた時点で、もっと危機感を持って技術者採用に 力を入れるべきだったんです。 一番能力のある妹ちゃんが辞めた直後の秋の結婚式シーズン。 大変なことになるのは目に見えていたはずで、余りに しっちゃかめっちゃかになってしまったら、私やヨークさんも 続ける意欲が失せてくるであろうことも、何となく 予想できたはずなんです。 なのに、シェフは「俺がやる」と言って周囲の助言を全く 聞き入れず、できもしないことを未だに「やる」と言って 人を雇う気配は全く無い。 私は、警鐘を鳴らしました。 鳴らしまくりました。 無理なんじゃない? ねえ、無理なんじゃないの? と。 もちろん、シェフには言いません。シェフになんか言ったら、 「だったら残ってくれ」と即答するに決まってるから。 シェフやヨークさんは、これからどんな大変な目に会おうと 知ったこっちゃありません。 私の警鐘を無視したんですからね。 だけど、オープン当初から働いている私にとって、私たちが 作り上げてきたと言っても過言ではない、我が式場の ウェディングケーキがむざむざと崩れていくのを見るのは、 忍びないというか見るに耐えない気持ちになるんです。 ケーキの形からサイズ、色、絞りの入れ方、フルーツの配置に 至るまで、ほぼ全ての工程に関わり、試行錯誤を重ねて やっと出来上がった、8種類のケーキたち。 細かいことで言えば、スポンジケーキひとつとっても、粉や 砂糖の量、生地の混ぜ具合や焼き加減などを考えながら試作 するところから始まり、生クリームの脂肪分のパーセンテージ まで、無い知恵を振り絞って3人で考えたんです。 それが、たった数ヶ月で間違いなく壊れていくでしょう。 誰か1人、『パティシエ』が入らないと、うちの式場から ケーキのセクションもろとも無くなってしまうんじゃないかと いうぐらいの、危機なんです。 少なくとも、私はそう思ってる。 シェフ、本当にそれでいいんですか? ***** シェフの1日。 私たちが9時や10時に出勤して仕事を始めていると、30分〜 1時間後ぐらいにやっとパティシエルームに顔を出す。 ホワイトボードに書いた仕込み表を、ゆうに5分間はじぃーっと 眺め、動き出したかと思えば、そこらじゅうの冷蔵庫を 開けては眺め、閉めてはまた開け・・・を繰り返す。 そしてもう一度仕込み表を眺める。 なぜそんなに長時間仕込み表を眺めるかというと、彼に できる仕事が『無い』から。 シェフはまだ、ホントに数えるほどしか仕事ができない。 そして、やっとこさできるであろう仕事を見つけ、ボソッと 「俺、これやるから・・・」 と消え入りそうな声で告げる。しかし、ヨークさんに 「それは、こっちの作業が終ってからでないと無理です」 とつっぱねられ、再び仕込み表を眺める。 そして仕方なく、夕方始めれば十分間に合う仕事に手を つけはじめる。 「何から始めればいい?何が優先だ?俺は何を手伝う?」 等の台詞がシェフの口から出たことは、未だかつて一度も ない。 不思議でしょうがないけれど。 新しい仕事に取り組む姿勢を見せないので、私たちも わざわざ教えることはしない。 だって自分でやったほうが速いし、おいしいもん。 だからシェフは、覚えた仕事を何とかの一つ覚えのように 毎日繰り返すだけなので、いっこうに成長しない。 だいたい12時半からお昼ご飯なんだけど、仕事のスピードが 追いついていないため、時間通りにお昼ご飯に行けない。 私たちがやれば30分程度で終る仕事を1時間以上もかけて グズグズとやってる。 でも、待ってても私の仕事が遅れるだけなので、サッサと 賄いをいただきに行く。「お先に」とだけ言って。 普通の料理界には有り得ない。(笑) 下っ端が、シェフより先にご飯食べるなんて。 「俺はシェフだぞ!!」と口で言うも虚しく、誰からも 認められていない。 そんだけ時間かけて、そんな量の仕事しかこなせないなら、 パティシエルームから出て行け。 邪魔だ。 場所取るだけ、空気悪くなるだけ。 結局、午前にひとつ、午後に一つ仕事をこなして、シェフの 一日の仕事は終る。 同じ仕事を毎日繰り返すだけ。新しい仕事を覚えない。 しかも、どうやら色覚異常かもしれないという疑惑。 生クリームの色が、見分けられないのだ。 シェフは毎回、ウェディングケーキ用に作ったピンク色の 生クリームを、別の用途に使おうとする。 初めて見たときは、あえてピンク色を使いたかったのかなと 思って黙って見ていました。 だけど、「そこはピンクつこたらアカンやろ!」っていう 部分にも使おうとしていたので、 「シェフ、それピンクですけど・・・」 と言うと、 「・・・・。そっか。だよな・・・」 と言うんです。 一度や二度じゃなく。毎回です。 確かに、白っぽいピンクではありますよ? だけど、明らかにピンクなんです。見まごうことなき、 ピンク色なんですよ。 しかも、隣に白い生クリームの入ったボウルがあるにも 関わらず、両方とも使おうとするんです。 白っぽいピンクのものしか無かったら、あれ、これ白かな? と間違うこともあるかもしれませんが、隣に純白のものが あるんだから、一目瞭然なんですよ。 あれ、何も言わずにほっとくと、ピンクの生クリームの まんま、お客さんの前に出ることでしょう。 そのうちやりますよ、きっと。 ***** まあー、書き出せばきりがありません。 自分が辞めた後の不安要素。 でも、当事者である彼らがのほほんとしてますからね。 意外と大丈夫なのかも・・・。 と、思い込むことにします。 ...
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