虚ろなる備忘録

3:理不尽な世界; 5:訪れるかな平穏; 7:すべてが虚ろになる;

2015年10月15日(木) 精神科通院日。

 月一の通院。某大学病院精神科。今日は久しぶりの長時間待ち(45分)。診察はレコーダによると25分。リーマスは200mgから400mgに増量。この薬の血中濃度を計るために採血を命じられる。2年程健康診断をしていないみたいだと指摘され、血中濃度だけじゃなく栄養状態や肝機能を調べる分の血液を採られ金もその分多く払う。採血の臨床検査技師は若そうだったがものすごく上手でチクリともしない。思わず感嘆した。上手だった人には僕は敬意を表してその旨を伝えるようにしている。

 先月の診察時に、主治医は僕と同い年くらいの、そして僕と同じBPDの患者さんを、彼女が17歳の時から今に至るまでの15年間診ていることを知り、今回もその患者さんの話を差し障りの無い程度にだが聞かせてもらった。

 主治医曰く、彼女は1年以上仕事を続けられていて、調子も良さそうなのだそうだ。BPDの人が感じる生きづらさは仕事ができてもやはり彼女にも例外なく付き纏うものだそうでね、帰宅すると動けなくなるほど疲れたり、時々は消えたくなるくらいに落ち込むなどということもあるらしい。以前は仕事も長続きせず辞めたり、長期間働かなかったりと不安定だったそうだが、今の仕事は1年は続けていてそこそこ安定していると。
「その方は何が自分の支えになっているのですかね」と訊ねる。
「彼氏だねぇ。まぁ、色んな男がいるからね、20代の時も色々あったけど、今の彼は理解があってね」
 それ以上は深く追求はしなかったんだが、理解ある彼氏……のおかげで、安定的に仕事もできるようになって……。ここからは主治医にも言ったのだがね、僕には7年も一緒に生活する夫がいて、その夫は親よりも弟妹よりも友達よりも付き合ったどの男よりも、そして恩師よりも、僕が抱えている問題に対する理解力は誰の比にもならないのだよ。だが僕は夫と一緒にいてもこの7年ずっと不安定だ。だがね、BPDといっても様々。主治医に聞くところによるとその彼女の幼い頃の境遇と僕のものはとても似ているらしい(宗教問題は入っていないようだったが)。

 先月から今日までの変化としては、ODを何度かしたこと、お酒ばっかり飲むようになってしまっていること、でも毎日1歩だけ玄関の外に出ようと決意して雨の日でもとにかく毎日散歩をするようになったこと。未来と歩がすごく喜ぶし。
 主治医はこの最後の散歩について「すごい変化じゃないか」となんだか大袈裟に見えるくらい評価していた。僕からしたら、こんな当たり前のことができたくらいじゃ達成感があるどころか逆に虚しいですけど、でもこれからも毎日やりますけど、犬が喜ぶし……。
「いやいや、でも自分が決めたんでしょ。犬が喜ぶなんて言ってるけどもさ。そういう些細なことのように思えるかもしれないけれども、いきなり働けなんて無理なんだからさ、いいですよ。続けてください。それがリーマスのおかげとは言いませんけれども、でもリーマスを増やすんで、採血していってください。また次回ね」

 
 



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