三歳児達を前にして絵本を読んでいて漠然と感じるのは、聞いてくれている人たち一人一人、それぞれの受け止め方をしているのであろうということだ。物語に注目し、筋を完璧に追って把握している子供もいれば、読んでいる私に注目している子供、部屋の空気や雰囲気をただ感じている子供、他にも私の想像の及ばない様々なことをそれぞれがしているのだろうということを、私は絵本の反対側にいて思った。その後小学四年生のクラスを前にして絵本を読み、これまた漠然と感じるのは、その視線の多様さは同じことであるが、その中に批評の視線が混じることだ。批評というと言葉がきついが、それはつまり自分との区別なのだと思う。彼ら彼女らの強く複雑な視線に揺さぶられる。それらを吸い込み私を通して絵本を通して返していく。