今月に入って、僕は本格的に心療内科に通い始めた。
できれば、通院することは避けたいと思っていた。 負けたくないというプライドもあったし、時間を取ることが難しいという事情もあった。 だから、これまではうつ状態から来る思考の鈍さを何とかごまかして来た(ボロボロのごまかし方だったとはいえ)のだけれど、ついに身体に症状(毎日続く風邪薬が効かない微熱)が現れるに至り、自力での抵抗は諦めざるを得なくなったのだった。
何を言われるか分からないので、心療内科に定期的に通院している、とは上司に言っていない。
病院へ行くときは「内科に行ってきます」とか、「今日は早く帰ります」とか言ってごまかしている。
そんな中、今日はたまたま「病院へは行かないといけないが、そこから直帰するわけにも行かない」という事情があったので、上司に「ちょっと今日は席をしばらく外しますが、戻りますので」と伝えると、上司は
「えっ!?そのまま帰ればいいじゃん。何の仕事があるっていうの?」 ときつい顔で言った。
「いやあ……」
と僕が曖昧な返事をすると、その上司は 「じゃあ今やらなきゃならない仕事って何?言ってごらん」 と厳しい口調で言った。
僕には、それがまるで上司が「大した仕事なんかないくせに何残業してんの?」と言っているように聞こえた(実際は残業する必要なんかないんだから帰りなさい、と気遣ってくれたのかもしれない)。
その後、僕が帰ってから仕事をしているときに、その上司にあることを質問すると、上司はとても怖い顔をして対応し、その後すぐに帰って行った。
上司の意図は分からなかったが、僕は自分が「ろくに仕事もないくせに上司の手をわずらわせるダメ人間」のように思えてならなくなり、しばらくするとどうにも涙が止まらなくなった。
幸いにも僕のデスクの正面方向には誰もいなかったので、見られはしなかったが、仕事場でこれほど泣いたのは初めてだった。
「自分は不要だから休職するか、辞めた方がいいのかな…」
と本当に真剣に悩んだ日だった。
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