夢を見た。 無色透明だった世界に、 アタシは輪郭を描いた。 そこに、 あの子が現れて 青い色を塗った。 あの人が現れて 赤い色を加えた。 奴が、彼女が、あの男が、 黄色と緑と紫を塗った。
アイツがそれに影を付けた。 少し暗くなった世界に、 彼が光を注いだ。 アタシは見上げて、 これで全てだと思い込んだ。 足りない色にも気付かずに、 その有りかも探そうとせずに。
やがて見失った。 アタシは自ら黒を塗って、 目を塞いだ。 気付いてしまった、 不完全な世界を見たくなかったから。
そして君が、 アタシの前に現れた。 薄目を開けて覗くと 君は少しずつ、 色を加えてた。 不格好だった世界に、 少しずつ。 時々乾いたり 削げ落ちたり 腐ったりする世界を。
今も塗り替えてる。
|